たけくまメモMANIAX

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2007年9月10日

ダダカン再訪記-藝術仏の近況

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Dadakan01 ←「少年サンデー」1971年3月21日号「へんな芸術」特集に掲載されたダダカン師の写真。撮影/羽永光利、「Quick Japan」96年2月vol.6に再掲。

昨日、日帰りで仙台に行き、ほぼ9年ぶりにダダカンこと糸井貫二師にお会いしてきました。96年に俺が「クイック・ジャパン」でダダカン師を取材し、98年の拙著『篦棒(ベラボー)な人々』に収録したのですが、それがこの12月に河出書房新社から文庫化されるため、挨拶に伺ったのです(文庫発売は10月と告知してましたが、諸事情で12月初旬になりました)

ダダカン師は日本におけるハプニング・アート、全裸行動芸術の開祖的存在であり、1964年の東京オリンピックに刺激を受け銀座の路上で丸めた新聞紙で赤フンドシをくるんだものを聖火に見立ててて全裸で走り、お巡りさんに捕まったり、1970年の大阪万博で太陽の塔を赤軍派が占拠した事件のときには、数百人の機動隊が取り巻く中を全裸で15メートル走ってお巡りさんに捕まったりして「少年サンデー」の巻頭グラビアにも載った、偉い人なのです。

Dadakan02

←1964年頃、仙台アンデパンダン展に参加したダダカン師(44歳)。赤い布をまとって仙台市一番町を走っているが、この後は当然裸になったという。撮影は現在青森県で前衛劇団を主催する豊島重之氏。「クイック・ジャパン」vol.7に載ったもの。
 ※……もしかすると60年代後期のイベント時の写真かも。場所は仙台であることは間違いないです。

俺が「少年サンデー」の「へんな芸術」特集でダダカン師を知ったのは、小学校5年の頃でしたが、そのアギャギャーマンのような風貌と「ダダカン」という名前が気になってしかたがなく、「いつかはこの人に会いたい」と願っていました。

その後、赤瀬川原平氏の読売アンデパンダン展の回想録『いまやアクションあるのみ!』(現在『反芸術アンパン』と改題してちくま文庫所収)を読んで、50~60年代に警察やマスコミから思想的変質者と呼ばれた一群の前衛芸術家の中でもひときわ異彩を放つダダカンの記述に触れ、やもたても堪らず、隠遁生活の師を尋ねて仙台郊外まで行ったのです。1996年の冬でした。

Dadakannenpu_2

←豊島重之氏の資料をもとに竹熊が作成したダダカン「儀式」年譜。ポップアップウインドウでは全体を表示しきれないので「新しいウインドウを開く」で表示してください。

その後、『篦棒な人々』を出版したときに赤田編集長と仙台を再訪し、いきなり全裸のダダカン・ルックで現れるなど大サービスをしてくださいました。それから9年余り、現在は86歳になられているので健康状態が心配でしたが、9年前となんら変わりなくお元気で、脳梗塞をやった俺よりも言葉がハッキリしていてお元気でした。

Dadakandscn0112 ←86歳でますますさかんなダダカン師。

9年前もそうでしたが、師は一ヶ月2万5千円の年金で一人暮らしをされており、食事は一日一食、夏場は庭のタンポポを食べるなど健康的な生活を50年間続けておられますので、成人病とは完全に無縁であるようです。

Dadakandscn0103 ←俺とダダカン師。撮影は河出書房新社の伊藤靖氏。

今回は服を着て出迎えてくださいましたが、話に興が乗ると全裸になられ、パフォーマンスをしてくださいました。まあ全裸と申しましても、ペニスの先に赤い水玉に塗ったタマゴの殻をカリメロみたいにかぶせているので、厳密には違うのですが。

前に来たときも「隠すところは隠してますから警察も手が出せないでしょう」とおっしゃってましたが、ある意味全裸よりインパクトが大きいかもしれません。俺も昔『サルまん』で「これが芸術だ!」と裸になりましたが、もちろんダダカン師の影響です。が、やはりどうあがいても本物には敵いませんでした。

俺の「ダダカン・ルポ」が呼び水になって、その後多くの若者がダダカン師を知ることになり、ミクシイにもダダカンのコミュニティが出来るまでになりました。その中には20代の女性もおり、「こんな世捨て人のところにも若い人が来てくれて、みんな竹熊さんのお陰です」とお礼を言われましたが、俺がたいしたことをしたわけではありません。

ダダカン師は、やってることは一見、人を驚かせるような行為ですが、金銭欲や出世欲が何一つなく、まったく純粋な、ムイシュキン侯爵のような人なのです。俺の本に登場していただいたときも、印税を含めた一切の金銭の受け取りを拒絶されました。ダダカン師は70年代初め、10万円の不労所得が入ったことがあり、そこで一万円札を半分燃やして複数の友人に送りつけたことがあります。それを聞いた「模型千円札裁判」の赤瀬川原平が「ゾッとした」そうですよ。俺も1万円札を半分燃やして「クイック・ジャパン」に載せたいと思ってましたが、どうしてもその勇気がでませんでした。

なのでダダカン師に現金を渡すと燃やしてしまう心配があるのです。だから師の家に行くときにはお米や味噌、缶詰をたくさん持参することにしています。文庫は12月になってしまいましたが、出たらこの冬にもまた会いに行こうと思います。

なおダダカン師については、美術評論家・椹木野衣氏の『戦争と万博』にも詳しい記述があります。


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| コメント(23)

“ダダカン再訪記-藝術仏の近況” への23件のフィードバック

  1. 修蔵 より:

    凄いですね。
    色んなことにから自由に生きていらっしゃる。

  2. 豆たろう より:

    いいな~
    チ●コにカリメロすれば捕まらないとは知らなかった。
    帽子に貼り付けた五千円札が素敵ですね。

  3. ポン一 より:

    無茶苦茶お元気そうですね。
    素晴らしい。
    しかし何度見ても「殺すな」の写真はかっちょいいですな。

  4. トロ~ロ より:

    「アンデパンダン展」とはこりゃまた懐かしい。
    全裸の肌つやとか筋肉とか、とても80代には見えません。
    かえって、たけくまさんがまた肥ってきたように見えて、心配になります・・・・なんか変だなー(笑)
    フツーは裸のお爺さんの方を心配するだろうにねー(笑笑)
    紙幣より金貨とかの方が気に入って頂けるかもしれません。玉袋に下げてみるとか。
    ナット・キング・コールの名唱「ネイチャー・ボーイ」を聞きたい気分。

  5. めたろう より:

    箆棒な人々、延期でちょっとガッカリ。
    私も竹熊さんの方が肥られた様に見えて心配です。
    今からでもお庭にタンポポを植えられるべきです。
    年表中の
    「大徳寺の参禅管長とホモ問答」
    というのが凄く気になります。

  6. 長谷邦夫 より:

    漫画史研究会10周年パーティではどうも!
    たけくまさんのお元気なところを確認できました。あのあと行かれたのですね。
    いやはや、ベラボーなおじいさんですな。
    70年代には全裸疾走が結構ありました。
    ぼくの知人では、歌手の三上寛さんが
    新宿でやっています。
    あと、赤塚不二夫センセも。
    これは巣鴨駅近くの路地から走り
    駅近くの商店まで!
    例によって、アルコールの勢いを借りています。フジオプロの改築で、巣鴨のカメラマンの
    スタジオを間借りしていた時代です。

  7. くう より:

    クイック・ジャパンの連載、息を呑む思いで読んでいたことを思い出しました。
    ダダカン師、お元気そうで何よりです。

  8. B.S より:

    浅草キッドの水道橋博士が、自身が影響を受けた名著として、『箆棒な人々』を度々紹介しているのを見聞きしたことがあります。
    比較的最近の『博士の悪童日記』の中でも、
    >車中、竹熊健太郎『箆棒な人々』編、再読。
    この本、康芳夫さんや川内康範先生が何者か?
    基本的な事実を知る上でも、今更ながら名著だと思うなぁ。
    と述べていましたよ~。
    (ご存知かと思いますが、一応ご報告させて頂きました)
    http://www.asakusakid.com/diary/0708-tyu2.html
    『箆棒な人々』文庫版、楽しみにしています!!

  9. syuu より:

    「全裸」「アカフン」「フリチン」等の単語で埋まる年譜が素晴らしい。

  10. akio より:

    ・・・竹熊様、体型がお戻りになられている・・・
    ダダカン氏と並んでいる為の目の錯覚か?・・・

  11. 士郎 より:

     県下有数の進学校の優等生でありながらじゃんけんの罰ゲームで全裸でスーパーの地下街を駆け回った友人M君はその後
     
     防衛大→気象予報士→郵政省の役人
    とバリバリのエリートコースをまっしぐらです
    人生いろいろですね。
     

  12. 殺すなマン より:

    クイックジャパンで衝撃を受けた者です。
    お元気そうでなによりです。
    帽子のお札や締まった身体を見てリー・スクラッチ・ペリーを想起するのは私だけではありますまい。

  13. より:

    ダダカン、年寄りのくせして男前やんか。

  14. より:

    ダダカン氏のナイス帽子もそうですが、竹熊先生の五穀豊穣Tシャツに目が…
    ぜひ新嘗祭で着たい一着でございます。
    篦棒な人々楽しみだなぁ。

  15. zz より:

    ヒゲゴジラみたい、って思ったのって俺だけ?

  16. KY より:

    私はダダカンさんの近影を拝見して、手塚治虫の「ドオベルマン」にそっくりだなあと思いました。
    彼もBEMなのかしらん。

  17. blog49 より:

    このさわやかな顔。「悟り」とはきっとこういう人が開いているんでしょうね。

  18. 金田淳子 より:

    やばい!!
    なんという美髭、美皺、美たるみ、そして美局部。
    老人萌えの血が騒ぐがずにはいられないぜ!!

  19. 金田淳子 より:

    やばい!!
    なんという美髭、美皺、美たるみ、そして美局部。
    老人萌えの血が騒がずにはいられないぜ!!

  20. 金田淳子 より:

    ぎゃーー!!
    痛恨の重複投稿!!
    やはり老人萌えの業はおそろしい!!

  21. blog49 より:

    ダダカン師の写真をライブドアピクスに保存させていただいたところ、強制公開禁止へ。たけくま氏もご自愛を。

  22. 云々 より:

    今後はどんな場面でも「カリメロ」という語を見聞したり、おもいだしたりするたびに、この人物のことを反射的に連想しなければならなくなった自分の脳内を「どーしてくれるんだよ!」と抗議したい気分でいっぱいの今日このごろです。

  23. 六波返し より:

    ダダカン86歳

    奥崎謙三がいない世界なんて。
    でもまだダダカンがいるから大丈夫だ。
    竹熊健太郎著「箆棒な人々」は大変おもしろいので、12月の文庫化を待って皆買うべし。

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