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2008年4月11日

「漫画家アシスタント物語」が出てます

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517cz2z9yl_ss500_2漫画家アシスタント物語 (SUN MAGAZINE MOOK)

以前ここでも紹介したイエス小池(yes-de)さんのブログ『漫画家アシスタント物語』が単行本になりました! 1974年に某マンガ家さんのアシスタントになったのをきっかけに、村野守美氏、かわぐちかいじ氏、そして78年にジョージ秋山氏のアシになってかれこれ34年もアシスタントを続けている著者の、赤裸々な記録であります。小池氏のブログは、俺も以前、ここで紹介したことがあります。

http://memo.takekuma.jp/blog/2006/06/post_745b.html
↑「たけくまメモ・全マンガ家志望者必見!」

小池さんも書かれていますが、本気でマンガ家になりたいなら、アシスタントは遠回りになることもあります。日々、先生の仕事を手伝ううちに、そのことに満足してしまい、自分の作品を描く意欲が失われていくのです。

俺の知る範囲でも、5年以上アシスタントを続けてマンガ家になれた例をあまり知りません。アシスタントは最長3年をメドに辞めてもらうという方針のマンガ家も知っています。もっともこれは、3年以上顔をつきあわせると情が移ってしまい、なかなかクビにできなくなるという先生側の事情もありますが。マンガ家の仕事は一部の人を除いて安定しませんので、アシにあまり居着かれても困るのです。

本書から伺えるイエス小池さんは、超がつく真面目な性格で、涙が出るほど「いい人」なんですけど、いい人であることと、マンガ家として成功することには相関関係はないのがツライところです。小池さんは過去にマンガ家デビューしたこともあり、単行本も出しているのですが、ついに連載を獲得して一本立ちするには至りませんでした。

マンガ家を目指しながら、34年間もアシスタントを続ける鬱屈は並大抵のものではなく、本人も自分の才能や努力が足りないことを非常に謙遜なされているのですが、34年もアシスタントを続けられていること自体、小池氏の作画技術者としての優秀さを示しているわけで、俺は、本当ならなんら恥じることではないと思うわけです。

それでも、業界全体に「アシスタントはマンガ家になるための修行期間」「アシスタントは半人前」という認識が覆っていることは事実。俺は、マンガ・アシスタントは立派な専門職であり、映画の美術や大道具小道具、衣装みたいに、テロップに名前を出して認められるべきだとかねてから考えていました。しかし、いろいろな事情があって、とうぶんそうなることはないでしょう。さいとうプロをはじめとして、スタッフ名を出す作家もいることはいますが。

それでも俺は、これから業界も変わってくると思います。ちょっとこのへん、長くなるので改めてエントリにして書いてみたいと思いますので、今日はこのくらいで。

ともあれ、アシスタントの目から見たマンガ界の本というのは、たぶん本書が初めてでしょう。70年代から現在にかけての立派な時代の記録であり、私小説としても抜群に面白い本です。特に、なにかクリエイティブなことをしたいと思いつつ何となく30歳を越えてしまった人には、生きる上でのヒントが見つかるかもしれません。お勧めです。


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