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2009年3月5日

京都で杉浦茂展

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この3月20日から5月24日まで、京都国際マンガミュージアム(京都市中京区烏丸通御池上ル)にて、杉浦茂生誕101年を記念した大回顧展が開催されます。

http://www.kyotomm.com/

↑京都国際マンガミュージアムTOP

杉浦茂は1908年東京に生まれ、若くしてシュルレアリスムの洗礼を受け、画家を志しました。しかしファインアートでは食えず、昭和初期の流行マンガ家だった田河水泡に弟子入りしてマンガ家に(師匠の田河も前衛芸術からマンガに転身した人物)。兄弟弟子には『あんみつ姫』の倉金章介や、『サザエさん』の長谷川町子などがいます。

杉浦のデビューは戦前ですが、ブレイクしたのは戦後の50年代で、集英社の「幼年ブック」などで『猿飛佐助』や『コロッケ五えんのすけ』『ウドンこプップのすけ』などの児童向け娯楽マンガを大量に描いて人気を博しました。

作風はシュルレアリスム絵画で鍛えられた超絶的イマジネーションに過激な幼児性をともなった、時代を超越した独創的なもの。そのナチュラルなドラッグ感覚が60~70年代のヒッピーからも高く評価されたことで知られています。

杉浦茂の天才性は、作品を見れば一目瞭然です。以前も紹介したことがありますが、以下に掲げる作品『キリン号のたび』を見てもおわかりになるでしょう。

Sugiurakiringo01←『キリン号のたび』(1949)杉浦茂マンガ館第1巻収録

左図が1ページ目ですが、たろうさんの家に遊びに行くルミちゃんの衣装もさることながら、たろうさんの家のデザインに、早くもただならぬものを感じます。

さらに、たろうさんの家からキリンがニョッキリ首を出して「ルミちゃんいらっしゃい」としゃべります。実はこのキリンは、発明家のたろうさんがこしらえたロボットなのでありますが、陸海空のどこでも運行でき、たろうさんはルミちゃんと一緒にキリン号で大空に旅立つのです。

Sugiurakiringo02 そして左がキリン号が飛行する様子ですが、この飛ばせ方に俺は杉浦茂の天才を見ました。たとえば四足動物を飛ばすにあたっては、ペガサスのように背中に翼を生やすというセオリーがあると思うんですが、杉浦茂は手足の間に膜を張って翼にし、口からプロペラが出てきてこれで空を飛ばせたのです。

未だかつて、このような姿でキリンを飛ばせた例があったでしょうか。宮崎駿や押井守でも無理でしょう。くやしかったら、これをアニメ化して欲しいものです。見たい人がどのくらいいるか知りませんが、俺は見たい。

杉浦マンガは世代を問わない人気がありますので、いくつか復刻されています。『キリン号のたび』は筑摩書房の『杉浦茂マンガ館』の第一巻で読むことができます。この人に限って駄作はほとんどありませんので、この展覧会を機会に読む人が増えれば幸いです。

今のところ京都でしかやらないようですが、ぜひとも東京やその他の地方にも巡回してほしい展覧会です。ちなみにこの展覧会では、各界の杉浦ファンにお気に入りのキャラを描いてもらって、それを展示するコーナーもあるそうです。実は、企画協力のみなもと太郎先生から、「竹熊さんも、ぜひ」と用紙まで渡されていたのですが、忙しさにかまけて〆切りが過ぎてしまいました。この場でお詫び申し上げます。



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| コメント(14)

“京都で杉浦茂展” への14件のフィードバック

  1. たけくま より:

    コメント掲示板にスレ立てができなくなっているので、こちらのコメント欄を解放します。なんか調子悪いなあ。
    会場の京都国際マンガミュージアムは、京都市と精華大学が共同で設立した第三セクターで、国内有数のマンガ専門図書館です。俺、京都に部屋を探すのならできるだけここに近い場所を、ということで探しました。
    関西の方は、杉浦茂展をなにとぞよろしくお願いします。

  2. kuri より:

    杉浦茂は、早すぎたキース・ヘリングなのかもしれないと思います。

  3. 「チャクっとめざめちゃったんだ」
    「はなをめしませラランラン」
    ときおりネツトせかいでつかわしてもろてまふ
    ごいがすごい。もづろん存在を知ったのは江口先生(先ちゃん
    のごしょうかいに拠りまふ

  4. 18 より:

    学研まんがのルーツという説に一票

  5. みなもと太郎 より:

    ご紹介有難う御座います。竹熊先生、〆切り過ぎていようが構いませんからゼヒお願いします。4月に届く予定の方もいらっしゃいますし、2日ほど前も、和田誠さまから素敵な作品が届きました。全く問題ございません、お待ち申します。…いやそれにしても、私も今回の展示のため何点も模写いたしましたが、今さらながら杉浦茂の天才性には舌を巻きました。全コマ隅から隅まで才能が爆発しており、畏怖すら覚えます。復刻だけでは評価しきれぬ貴重な作品、原画の数々を目に出来る「101年祭」、ぜひ皆様も足をお運び頂きたいと念じております。お待ちしております。

  6. L より:

    杉浦茂さんの漫画はどことなく無国籍風で
    お洒落な雰囲気でセンスが良く、今見ても
    全く古くさく感じないのは凄いですね。
    ところで杉浦茂さんとは関係ないことで申し訳ないのですが、
    興味深い記事を見つけたので紹介します。
    (マンガと海外)
    ttp://wiredvision.jp/blog/odagiri/200902/200902271400.html
    この記事で書かれているように、海外の漫画が
    日本では「漫画」としてはほとんど紹介されて
    いないというのは考えてみると不思議ですね。
    日本にも海外漫画がどんどん翻訳されて
    入ってきて欲しいと私は思っています。

  7. 長谷邦夫 より:

    たしか、筒井康隆さんが<世界にまれにみる>!!と
    かつて書いておられたはずです。
    ほんと、シュールで、杉浦先生を超えた
    マンガ家を知りません!!
    みなもとさん、素晴らしい企画を推進されていますね。
    名古屋方向の講義旅で、タイミングが取れたらぜひ
    拝見したいですよ。

  8. nameless より:

    みなもと太郎先生の名を久しぶりに見たので
    ふとググると
    http://www.fuunji.net/
    が消えとる・・・

  9. エイジロー より:

    このセンス!
    いつ見ても杉浦茂の作品には驚きがありますね。
    エントリ紹介の2枚目の飛行シーンの眼下の町並みなどは
    もうアートですね。形といい配色といい。
    昔の色数が限られてたしょぼい印刷なのに・・
    風景だけでも額に入れて飾ったってイイくらいですよ。

  10. ほろにが より:

    こんばんは。ステキな情報ありがとうございます!杉浦茂さんは大大大ファンなのでぜひ東京にも巡回してほしいなあと思いますね。以前三鷹で行われた展示には行ったのですが、タイトルから察するにあれよりも規模が大きいようですね。京都、行けるものなら行きたいです。

  11. 野ぐそ より:

     生まれて初めて杉浦作品を見ましたけど、色遣いが奇抜で面白いですね。

  12. yaz より:

    僕は、細野晴臣さんがいろんな媒体で、
    影響を受けた人物として挙げているのをみて
    80年代後半に再発された際に
    つい全巻買ってしまいました。
    なるほど、細野さんのセンスと
    重なる部分が見受けられます。
    40歳前後のYMO直撃世代は僕みたいに
    細野さんの紹介から読み始めた人が
    多いんじゃないでしょうか。

  13. 87分 より:

    去年、イギリスのロックバンド、RADIOHEADがプロモーションビデオコンペを行ったのですが、その優勝作品のうち一つに杉浦茂っぽいキャラクターが出てきます。
    http://www.naku-yoru.com/diary/2008/06/radiohead-video-competition.html
    スタッフロールにあるとおり日本人の作品です。
    http://www.youtube.com/watch?v=lIAJAS5cJ54

  14. nameless より:

    失礼見れました。
    何だったんだ一体・・・

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