たけくまメモMANIAX

« | トップページ | »

2009年6月28日

「ヱヴァ」は品川駅を出発しました(ネタバレなし)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

昨日見てきましたよ「ヱヴァ」。最初は南町田にある109グランベリーモールで12時20分の回を見て、それから渋谷で用事を済ませて、帰りに歌舞伎町の新宿ミラノでもう一回見ました。グランベリーモールは八分程度の入りで少し心配しましたが、新宿ミラノは夜の回も超満員で、どちらの映画館でも終了時に拍手が出ました。グランベリーモールでは終わって駅に向かう途中で多摩美の教え子に出くわしたんですが、「先生、ヱヴァどうでしたか」と訊かれたものですから、

「旧作とは全然違う。確かに大筋は一緒だし『エヴァ』には違いないが、もう別作品と言っていい。前回の『序』であえてテレビ版の序盤そのままをなぞって見せたのは、これをやるための前振りだということがよくわかった。確かにこういう“リメイク”は見たことがない。テレビ版や旧劇場版も傑作だったけれども、今度の『ヱヴァ』がもしこのテンションのまま完結するようなら、おそらく50年後も語り継がれるような大傑作になると思う」

と答えました。こないだラジオで宮台真司さんや氷川竜介さんと共演したわけですけれども、氷川さんはともかく宮台さんや俺はまったく内容を知らなかったので非常に話しづらかったわけですが、事前に関係者以外には試写も見せないという徹底した報道管制を敷いた「真意」は、この初めて見る驚きを大事にしたゆえだろうと理解しました。

『ヱヴァ』はまだ初日を迎えたばかりで、これから見る人もたくさんいるでしょうから、今回はネタバレに触れずに書きたいと思います。

さて、ラジオ出演時に氷川さんが

「同じ駅から出発して、平行して走る二本の路線がありますよね。出発から途中までは車窓の風景は同じなんだけども、途中の駅で方向が別れて全然違う景色が広がる。今度の『ヱヴァ』は、喩えるならそんな感じ」

とおっしゃってました(※)。それで俺が

「ははあ。東京駅から出発した山手線と京浜東北線が、途中の品川駅で渋谷・新宿方向と横浜方向に分かれるみたいなものですね」

と言ったんですが、概念としてはそのように理解していても、実際見るまではどういうことなのか、サッパリわかりませんでした。しかし今は、『旧エヴァ』は山手線で東京から渋谷方向に走っているが、今度の『ヱヴァ』は京浜東北線で、品川駅を通過して横浜方向に走っていることがはっきり理解できました。山手線に乗っても京浜東北線に乗っても、東京から品川までは同じ駅に停車するので、車窓から見える景色は同じわけです。

※氷川竜介さんからのご指摘があり、山手線と京浜東北線のたとえ話は鶴巻監督が企画段階で出した「破」のコンセプトだそうです。

そこで今回の「破」なんですが、『旧エヴァ』はおろか、DAICON FILM時代から庵野作品を見ていた俺としては、思わず目頭が熱くなるものがありましたよ。今回『新劇場版』を製作するために、庵野監督は自分の会社(カラー)をわざわざ作ったわけでしょう。それで製作だけではなく配給まで手がけている(クロックワークスと共同配給だが、主体はカラー。これはマンガ家が作品を執筆するだけでなく、自分で出版社を作って取次会社まで持つようなもの)。

今回庵野さんがやっていることは、史上最高レベルの自主映画だということで、DAICON FILMの頃と精神が変わっていないわけです。スケールは全然違いますが、俺が既成の出版界の仕事を休止して「マヴォ」を自主編集・自主販売しているようなものです。俺も庵野さんと同じく、自費出版のミニコミから業界に入った人間なんですよね。こういう人間は、

業界に入ってプロとして活動していても、好きなことができなければまた自主製作に戻ればいい

と、心のどこかで常に考えているんですよ。庵野監督の場合、億単位のお金をかけてこれをやったわけで、ちょっと言葉が見つからないくらいすごいことだと俺は思っているんですよ。『ヱヴァ』が終わったら、ぜひこのあたりの話を庵野監督に訊いてみたいものです。

やはり、今はプロとアマチュアの境界が崩壊している時代なのだと強く感じましたね。庵野さんや俺みたいに、もともとプロとアマの境がない種類の人間には面白い時代になったものだと思います。映画界も出版界も、既成のシステムが動脈硬化を起こしている。そういう時代にクリエイターが何かを作ろうと思ったら、自前のシステムを作って作品を自分で売るしかないんですよ。

それにしても、こうなってきますと、次回の『ヱヴァンゲリヲン・Q』がどういう展開になるのかまったく見当がつきません。俺も一介のファンとして、庵野劇場の行く末を楽しみに待っていたいと思っています。

たけくまメモMANIAX

| コメント(32)

“「ヱヴァ」は品川駅を出発しました(ネタバレなし)” への32件のフィードバック

  1. 【映画評】ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    汎用ヒト型決戦兵器エヴァンゲリオンのパイロットとして運命に翻弄される子供たちの苦闘を描いた新装エヴァ第2弾。

  2. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 を観たゾ

    公開初日に観に行ってきました ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 さすがに今回の作品は混雑する予

  3. 常楽ブログ より:

    エヴァが北風ならヱヴァは太陽。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』観賞

     初日のレイトショーはチケット売り切れで観られず、二日目のレイトショーに再チャレンジして、ようやくヱヴァ破を観ることができました。今回の殺到といい、お台場の等身大ガンダムの人だかりといい、この国はかなりのスピードでアニメ大国への道を突っ走ってますね。
     国教がキリスト教でも仏教でもなく、アニメになっちゃったりして。たとえばガンダムファンによる派閥同士の対立とか、まるでキリスト教内における内紛みたいですからね。さて、余談はさて置いて――。
     ヱヴァ破の全体的な印象は、「きれいなジャイアン」…

  4. 怒濤のサービス精神:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    今朝、横浜ららぽーとで話題の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を鑑賞してきました。思いっきり楽しませてもらうために女性の新キャラが出てくるらしいという前情報しか入れずに劇場に臨みましたが、僕の予想を遥かに超えた世界最強とも思えるエンタメ系映…….

  5. ヱヴァンゲリヲン 「破」

    週末に早速みてきました。前作の「序」がヤシマ作戦を軸に従来のアニメ版をコンパクトにまとめた印象だったんで若干の不安があったのですが、今回の「破」についてはそんな心配は杞憂でした。
    物語は登場人物の内的必然性に合わせてスッキリと整理されています。そして既に今までのエヴァとは全く異なった新作といっていいでしょう。しかし今までのヱヴァンゲリヲンのエッセンスを失うことなく完成度の高いものになっています。
    オープニングから数十分に渡る使徒の襲来とその新しい使徒のデザイン、映像美は特筆に値します。CGを…

  6. 1急84.-ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破-

    「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見てきました。 旧作からファンの俺は、はっきり言って、ものすごいストレス(というよりもすごいショック)がたまった。 庵野秀明に置いて行かれた気分。 ずるい。 庵野はずるい。 俺だってナウシカ大好きなのに。 俺だって駿大好きなのに…

  7. [にっき]品川発月面行き超特級

    ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破。見てきました!(ネタバレなしです) すっごかった。ホントにすっごかった。見たあと30分くらい口半開きでした。まだ気を抜いたら頭がぐらぐらします。これなら二年待ったのも許せる!次も二年待てる!! 竹熊さんが「エヴァは品川を出た」とい…

  8. [にっき]品川発月面行き超特急

    ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破。見てきました!(ネタバレなしです) すっごかった。ホントにすっごかった。見たあと30分くらい口半開きでした。まだ気を抜いたら頭がぐらぐらします。これなら二年待ったのも許せる!次も二年待てる!! 竹熊さんが「エヴァは品川を出た」とい…

  9. オーブロ式 より:

    ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    「 え~機内に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』を見た方がいらっしゃいましたら…

  10. ■感想 庵野秀明総監督 摩砂雪, 鶴巻和哉監督 『ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破 EVANGELION:2.0』

    まずは徹底した秘密主義をとった本作公開までの制作陣の想いに従い、ネタばれなしのレ

  11. 目覚●しテレビを見る

    あなたはテレビを見ているだけでお金をもらう権利があります
    http://123.moto-nari.com/

  12. やっぱりエヴァとワンダースワンが好き

    今日、公開二日目のエヴァを見に行ってきました。 ヱヴァンゲリヲン新劇場版: 破 …

  13. もう一回みたよ:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    日曜の朝一に横浜のららぽーとで見た「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破 」を本日再度川崎のチネチッタで見てきました。前回は何も買わなかったのですが、今回はパンフも含めグッズは3点購入。次回作の制作費の足しにしてください!>制作スタッフの方々前回は、1エヴァファン……

  14. ibaraki-radio より:

    新しいEVAがものすごい件

    最近仕事が暇なので、仕事終わりに映画なんて観ちゃいます。
    「ヱヴァンゲリヲン・破」ですね。
    これを観ている最中、なんて長い映画なんだろう?
    と思いながら観ていました。
    だけ…

  15. [『ヱヴァ:破』を観た(三観目:三角関係)]

    ☆観れば観るほど面白過ぎる『ヱヴァ:破』である。
     前の職場の同僚だった娘(既に観ている)と電話で感想を言い合い、盛り上がり、結果として、次の休みに観に行こうと約束してあるのだが、
     本日、我慢が出来なくなって、三観目に赴いた。
     私は、もはや、この作品を「音楽」のように捉えている。
     何度も繰り返し、「へヴィ・ローテーション」で観たいのである。
     昨日、母親に「明日は映画に行く」と言うと、「何観るの?」と聞かれ、「あまりにも面白いのでヱヴァンゲリヲンをまた観に行く」と答えると、「私も連れ…

  16. [勝手に評論][マンガ・アニメ][映画]ヱヴァンゲリヲンが大嫌いだ!

    話題の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観た。 驚いたのは、本編終了後の次回予告で知った三作目のタイトルだ。「序」「破」ときたので当然「急」だと思ったら「Q」だった。 序破Q ?! こ、これは…… まさかの村上春樹ネタ炸裂だ!! 10年の時を経て、エヴァの中…

  17. [勝手に評論][マンガ・アニメ][映画]ヱヴァンゲリヲンが大嫌いだ!

    話題の『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』を観た。 驚いたのは、本編終了後の次回予告で知った三作目のタイトルだ。「序」「破」ときたので当然「急」だと思ったら「Q」だった。 序破Q ?! こ、これは…… まさかの村上春樹ネタ炸裂だ!! 10年の時を経て、エヴァの中…

  18. 話題作『ヱヴァ』、スクリーン切り裂かれる

    話題作『ヱヴァ』、スクリーン切り裂かれる

  19. やべぇ3回目w:ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    映画の日ということで、3回目のヱヴァ破を見てきました。同じ映画を3回も立て続けに映画館で見たのは人生初の体験で、まるで音楽のように何度みても気持ちいいと感じる100分越えの長尺映像というのはそうそうないですよね。ストリーミング系エンターテイメントとしては最高……

  20. 【ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:破】

    ※ネタバレあり!ご注意!
     あと長いです。
     「破」!
     その言葉に…

  21. HELL NEET より:

    [映画]『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』さようならエヴァンゲリオン

    確かに、旧エヴァとは別物に違いない。旧エヴァは謎めいた物語やキャラの内面を強く描き、視聴者に歩み寄ってもらう必要のある作品だった。だが、今度のヱヴァはとても分かりやすく、庵野秀明総監督の思い描くエヴァ(ヱヴァ)は、十数年の間でようやく輪郭がはっきりとして…

  22. [感想]エヴァンゲリヲン破 カルテからシャシン、そして映画へ

     
     見ました。
     
     ものの見事に壊してくれてありがとうカントク。
    監督不行届 (Feelコミックス)/安野 モヨコ
    ¥840
    Amazon.co.jp
     
     もう、この爽快感はなんだ…

  23. エヴァンゲリオン新劇場版:破 の感想

    やっといろいろ落ち着いてきたので映画の感想でも書こうかとおもう。昨日は忙しくてま

  24. [『ヱヴァ:破』を観た(四観目:視姦/弛緩/史観)]

    ☆私は、『スターウォーズ』の新作が公開されたときの、アメリカの映画館の前に並ぶ行列で、メディアのインタビューを受けたファンの「あと、5回は観に行くゼ!^^」などのセリフに、白い視線を向けていたものだが、今は気持ちが分かる。
     かつて、漫画家のとり・みきが、原田知世に夢中で、一日に何回も『時をかける少女』をビデオ鑑賞していたが、今、私は、その気持ちが分かる。
     『ダークナイト』に夢中になって、どなたかが「8回目の鑑賞です」などとブログに書いていたが、今、私には、その気持ちが分かる。
     本日の午前…

  25. 晴録 より:

    我々は最後の決断を下さねばならない

     リンク先はヱヴァンゲリヲン新劇場版:破のネタバレがあると思います。注意してください。このエントリィもしかりです。 「こういうのは同じものを作る人間として、心臓が痛くなるというか、ぐっとくるというか、ぶわっとくるというか、いやああぶなかったなあ。」 エヴァ…

  26. ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

    ヱヴァンゲリヲン新劇場版の第2作目は、「昭和歌謡大全集」だった。
    ピンキーとキラーズ、赤い鳥、森山良子、水前寺清子…
    これらの有名なヒット歌謡が、劇中の重要な場面でふいに挿入されることに、強烈な違和感を感じたのは私だ…

  27. ヱヴァンゲリヲン劇場版:破/監督:庵野秀明

    このところ毎日マイケル・ジャクソンを観ている。
    MTVでは一日中流れているし、情報バラエティ番組でも特集をやっていたり、これほど異常といえるほど繰り返し見せられているという状況にあうと、好きなものでも嫌悪感を抱くようになるのが通常なのですが、自分でも驚くほど、何回も観てしまううえに、まだ観ていないヴィデオがあるのではと思い、何種類もの番組を録画したり、YouTubeを探したり。。。
    どうしてマイケルの話が枕かというと、「鼻」つながりなんですけど・・・( ̄ー ̄∂)
    まっ、とにかく、本日『…

  28. ヱヴァンゲリヲン新劇場版はトゥルーエンドの夢を見るか

    ようやく、気になる方々の感想を見ることができる。 皆、選りすぐりのエヴァの語り部だと思う。 まずは東浩紀さん http://d.hatena.ne.jp/hazuma/20090706 予想以上によかった⇒正直個人的にはノレない⇒批評家としては評価する、 といった感じでしょうか。 印象に残ったのは次の部分です。 ただひとつだけ言えば、それは結局、ぼくがこの新エヴァに、映像密度への驚嘆や批評的再構成への感嘆と反比例するかのように、「アツさ」や「ヤバさ」をまったく感じ取れなかった、ということを意…

  29. そろそろ本気でヱヴァンゲリオンを考える

    そんな訳で新劇場版ヱヴァンゲリオン考をやろうやろうと思いながらも中々腰が上がらないので とっかかりだけでも書いてみようと思います。 そもそもアニメを考える場合、アニメの伝達手法を大きく二つに分けて考える事が出来ると思う。 一つ目は物語論。これは文学的アプロ…

  30. ヱヴァ物語

    ヱヴァ破観てきた。おもしろかった。 冬月先生以外、エヴァ

  31. やはり新エヴァは「ひぐらし」に見える

    二度目の『破』行って参りました。 今回もバルト9。KINEZOで前日にチケット取ってみた。なかなか快適なシステムだ。 今回も面白かった。 感想は前回と大きく変化していないが、やはり私の中の「ひぐらし見立て」は進んだ気がする。 レイやアスカのソフト化も「蓄積の結果」に見えてくるし、ラストのカヲルの台詞など、あまりに決定的に聞こえてしまう。お前が梨花か。 と言っても、私は別に謎解きがしたいわけではなく、ただこの作品への興奮と苛立ちをどちらも否定せずに置いておける場所が欲しいのだ。 そして、そのとき…

  32. 「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を見て

    ドイツ在住中に上映していたためまだ見ていなかった「ヱヴァ序」を先日漸く鑑賞し、早速「ヱヴァ破」も劇場で見てきた。サクッと言葉にはし難いのだが、思いつくままに考えるところを書いてみたい。ネタバレしまくりなので、まだ見てない人は読まないでください。そして少な…..

« | トップページ | »