たけくまメモMANIAX

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2004年12月22日

俺の本業について

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ブログがあまりに面白いので、ついこれが仕事みたいに考えていましたが、そろそろ本業にも身を入れないと編集者に殺されるかもしれません。この場合、俺の本業とは、雑誌の仕事です。
あと大学講師としては、これから学生の課題を採点しなければなりません。
多摩美での俺の生徒が700人くらいいるのですが、全員にマンガを描かせたのです。家に持ち帰るわけにもいかないので、大学で一部屋用意してもらって、そこに段ボール箱をズラリと並べて課題作品を入れています。これを全部一人で読んで採点しなければなりません。一日100作品見ても一週間かかります。しかも採点はノーギャラです(非常勤なので)。気が遠くなりそうです。年末年始はこれでつぶれます。でも、実は楽しみでもあるんですがね。去年は700人中、3人くらい才能のありそうなのがいました。


別にブログを今始めるつもりもなかったのです。ただ何の気なしに始めたら、ここには編集者がいませんし、読者の反応がダイレクトに返ってくるので非常に楽しくなってしまいました。ヤバイです。本業より気合いが入ってしまってます。クールダウンが必要かもしれません。
以下は、余談です。また日を改めてきちんと書こうと思いますが、一応これは「たけくまメモ」なので、メモとして残しておきます。
本音をいえば、俺の本業は何なのか、自分でもわからないのです。自分のことを説明するのが一番面倒くさいです。たとえば俺は、かつて一度も、自分からマンガ評論家と名乗ったことはありません。それは、周囲がそう言うから、特に否定しないだけで、自分では評論家だとは思ってないのです。「編集家」というのは自分が名乗っている唯一の肩書きですが、編集者や作家ならともかく、こんな職業は実は存在しません。だから、新聞なんかで仕事するときは、結局わかりやすく「評論家」とかにされてしまいます。
「さすがはプロですね」などと人から言われるとき、内心居心地の悪い思いをするのは、たぶんこのためでしょう。まあ、それ(文章)でメシを食べているという意味で俺はプロなんですが、それ以上の意味はないんです。メシを食うのに効率のいい別手段があれば、いつでもそちらに乗り換える用意があります
で、ここだけの話ですけど、新聞とか雑誌で俺は仕事しているわけですけれども、これらはそう遠くない将来にはなくなってしまう気がしてなりません。実際、俺個人はもう十年くらい新聞をとってません。ネットとテレビで用が足りるからです。雑誌も、最近は買って読むのが自作PC雑誌しかなくなってしまいました。
ただし、出版(活字)は残ると思います。雑誌の未来は怪しいですが、少なくとも単行本は残るでしょう。ネットではなかなか実現できない特質が、紙メディアにはあるからです。それは、そう簡単には消すことも改変することもできないソースとしての価値です。電子媒体は、情報の改変や抹消が容易なので、このあたりがはなはだ不確かです。
たぶん速報性や流通、情報の加工の容易さなどの点で、新聞雑誌はネットにまったく歯が立ちません。反対に書籍(紙媒体)には、確固としたネタ元(一度出たら改変が効きにくい、責任の所在が明らかである、等)としての有利さがあります。このふたつが相補うような形で、未来のメディアはその形を変えていくのではないかと思います。こう考えたとき、新聞雑誌ははなはだ中途半端なメディアなのです。
そう遠くない将来、新聞・雑誌はなくなり、通信社や出版社はプロバイダを兼ねるようになるかもしれません。そして、接続料金に含むかたちでコンテンツ代を徴収したり、またはこういうブログでのテキストを物理的な本にして販売するのです。この流れはもう始まっています。「電車男」のヒットは、出版の世界に後戻りのできない影響を与えるはずです。
だから、僕なんかも、今は雑誌の仕事をしていますけれど、来年あたりからはブログが本業で、それを適宜出版するという形で生活することになるかもわかりません。というか、そうなればいいよなあ、と漠然と思っています。

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| コメント(25)

“俺の本業について” への25件のフィードバック

  1. めーむー より:

    ええと、理屈の部分については、私には知識も知能もなく
    評価しようもないのですが、とにかくたけくまメモは
    今の所すげえ面白いんで、ブログが本業になってくれればと
    真に思います。

  2. 関場 より:

    私もそう思います
    これからメディアにも大きな激変が起きると思います

  3. tomo より:

    紙媒体は「高級品」としてちゃんと残ると思います。
    危ういのは、新聞とか、週刊誌とかの、使い捨てモノ。はじめから捨てるつもりなんだから、紙使うほうが変だったわけで。
    ウェブだけで物書きをやって食っていく仕組みはまだちゃんとしていないので、早く何とかなってほしいですね。陰ながら応援しておりますです。

  4. 匿名 より:

    特に週刊マンガ雑誌はもうかなりギリギリのところまで来てるように思う。
    週刊で読ませるように描くことと、面白い単行本を描くことがあまりに乖離して久しい。
    せめて隔月36Pあたりじゃないかなぁと漠然と思う。

  5. 匿名 より:


    訂正
    ×隔月
    ○隔週

  6. ぼの より:

    そこで問題なのが、文字の世界だけでなく音楽だろうが映像だろうが、ネットで提供したものをどうやって著作者たちに利益還元していくのかというところでしょうか。
    今のネット界、特に日本ではネットにある物はすべてタダだという風潮があり、携帯以外のインターネットに携わる企業は今だその流れを変えることができずにいます。
    流れを変えるのは、課金システムなのか、それとも著作権管理システムなのか。
    そういや、最近フリーペーパーが増えてきましたね。
    雑誌でさえタダで配らなくてはならない時代において、物書きはどうやって生きていけばいいんでしょうかね。。。

  7. たけくま本人 より:

    ひとつの問題は、現状の著作権法は一見著者の利益を守るように見えて、実態は運用のカラクリがあり、版元・流通・著作権団体(JASRACなど)の利益を守ることが第一義になっているところですね。
    こうした中間マージンというか、あえて強い言葉を使うなら搾取の構造ですね、これを見直すことができれば、相当にコストが圧縮できるはずなんです。
    たとえば単行本一冊につき、著者印税は通常10%とされています。つまり1000円の本なら100円が著者に入る(実際は源泉でここからさらに10~20%引かれますが)わけです。最近は出版不況で、印税率が8%にされたり、実売印税にする会社も多いようですが、その場合はもっと手取りは減ります。
    仮に、中間マージンがまったくなければ本を100円で売っても著者的には利益は同じです。まあ、物流が発生する以上現実にはそれは不可能ですけれども。

  8. たけくま本人 より:

    微妙に答えになってなかったかな(笑)。原則的にネットで配信するコンテンツは一曲いくらの音楽ビジネス以外はうまくいってないのが現状ですよね。
    上の僕の書き込み、作品だけではなく、本そのものの制作費を失念していました(笑)。ただそれでも、定価は大幅に下げられるはずです。
    データによるネット販売ですが、特に漫画などの場合、書物の形態を前提に発展してきた表現ですから、どうしてもモノとしての本の形が必要になる…まあ、モニターでも読めなくはないが読みづらいし、そもそもモニターを前提にした場合、それは漫画ではなくゲームノベルとか、いっそアニメにしたほうがいいわけなんです。
    ただいずれにせよ、データのみのやりとりでお金にするのは難しいでしょうね。

  9. ぼの より:

    雑誌や新聞が滅び、インターネットがそれに代わるという竹熊さんの意見にほとんど賛同しています。
    しかし、たとえば小学生がコロコロコミックやボンボンを買うことができても、はたしてパソコンで買うにはどうすればいいのかって所が、目先の大きな壁だったりします。
    たしかに昨今の小学生はパソコンぐらいやるとしても、彼らがインターネット上で漫画を読むためにクレジット決済するんでしょうか。
    コンビニでネット決済用のプリペードカード買って来て、ガリガリ支払うでしょうか。
    僕なら、コンビニでそのまま雑誌を買うと思うんですよね。。。
    小学生というのは極端な例えですが、小学生がやらない(できない)ことは、大人の多くもやらなかったりするんですよね。
    そこで僕が考えるには、インターネットでも自由にお金のやりとりができるようになるまでは、誰もが無料で自由に読むことができる広告型の読み物が主流になる気がしています。
    ま、スポンサーの下に、物書きがいるという感じですね。端折ってたとえればテレビのような感じでしょうか。
    長いコメントですみません。。。

  10. あかね より:

    そういえば「ネットで情報を見るから」と、新聞を買わない友人が言ってた。でもそういうのって、ネットが出来ない状況に陥る(PCの故障や接続不能)と、かなりストレスを溜めるようです。
    リアルに情報を得られる分、そのリアルさについていけないと不安にもなるそう。携帯電話が鳴らなくても、携帯していないと不安になるように。

  11. qzmp blog より:

    生まれ変わるなら細木数子に(嘘)

    「たけくまメモ」が面白いんでまた書いてしまうが

  12. たけくまメモ

    ネットが広まって何が楽しいっていやぁ、作家さんとかが自分のページを持ってることなんだよね。最近(結構前かな)になってマガジンでも巻末コメントができて、注目された…

  13. Q作 より:

    メディアがネット中心になる・・・・っていう話題で考えるべき問題の一つに機会の不均等ってのは必ずあると思います。アクセスの問題で、既に何人かの方がご指摘なさっているように、個人個人の状態によっては情報にアクセスできない可能性が出てくることは見逃せない点だと思います。
    メディアの性質上、ネットでのやり取りが難しいもの以外にも、メディアへ完全に移行してしまうと相当数のアクセス困難な人に不利益があるような情報もありますよね。でもオンラインオンリーになるか否かの判断って基本的には資本主義ベースで決まると思うんですよね。そういう部分は少し不安な感じもします。

  14. たけくま本人 より:

    >Q作さん
    いやですから、電子メディアと紙メディアは、将来的にはうまく棲み分けるかたちで残っていくだろうと僕は書いたんです。
    ただそのとき問題になるのは新聞や雑誌(特に週刊誌)などの速報性を旨とする紙メディアで、これはいずれ淘汰されるのではないかというのが、僕の書き込みの主旨でした。
    難しいのは、マンガなんですけどね。マンガは本の形態、具体的には「ページをめくる」という読み手の運動に立脚している表現物ですから、なかなかネットでは代替しにくいのではないかと思うわけです(とはいえ、そういうサイトも多いですけど、短いものばかりですよね。長編はおそらく途中で読むのが疲れると思う)。
    ちょっとよくわからないんですが、この一点でマンガ雑誌は残るのかな…。

  15. ディック より:

    もしネットでのマンガが主流になると…
    単行本が売れなくなるかもしれないな

  16. 忍天堂 より:

    漫画のインターネット配信ですが
    日本から海外に転勤した人や留学している人、オタクの外国人等結構需要があると思うのですが、
    未だにどこの出版社も配信をしていないのかが不思議でなりません。
    (以前スクウェアが週刊少年ジャンプのインターネットでの漫画配信に乗り出そうとしていて映画の失敗でお蔵入りになったという事がありましたが)
    総務大臣の麻生太郎なんて留学中にマガジンとサンデーを送って貰ってたくらいですからね。
    あとは年を取って漫画を買うのが恥ずかしい世代とか(笑)
    以下浅生太郎のHPより抜粋
    浅生太郎HP

    新聞で

    2003年07月02日 麻生太郎 コミックを語る ビッグコミックオリジナル増刊
    >麻生 ただね、老眼鏡かけてコミック読むのは、ちょっと努力ですね。
    >それは間違いないな。老眼鏡をかけてね、やおらこう、コミック誌を出すっていうのは、飛行機の中なんかね、
    >かなり抵抗ありますよ。新幹線の中なんかでね、最近、麻生太郎じゃないかなって見られること多いんですよ。
    >普段はバッジつけてないせいもあって、昔はパレなかったんですけど、最近はパレる。
    >真剣に「マガジン」なんか読んでると、ちょっと具合悪いかな、という感じがしないでもありませんね(笑)。
    ハイパーリンクが出来ないのでHTMLを含んだコメントも認めて欲しい今日この頃。

  17. もの思う葦 より:

    おお竹熊さん!

    たけくまメモ

  18. X1 より:

    999が堂々と載っているのですけど
    ttp://ginga999.shogakukan.co.jp

  19. たけくま本人 より:

    わ。本当だ。

  20. back より:

    確か松本零士氏は随分前から
    ネットでマンガ連載をして
    それを後に単行本で発売という事をすでにやっていたと思います

  21. たけくま本人 より:

    でも売れてるのかな…それが問題だ。

  22. nick より:

    web連載と言えばいがらしみきお氏のsinkもそうですね。
    ttp://www.web-sink.com/
    僕は単行本で買うだけで、webでは読んでいないのですが、こうした試みは
    興味深いです。現状でweb書き下ろし発表して単行本を出版というのはかなりの
    知名度を持っている人でないと商業流通に乗るのは難しいとは思いますが。

  23. back より:

    http://kodansha.cplaza.ne.jp/hot/gundam/index.html
    ご存知の方もいるでしょうから蛇足気味ですが
    これなんかもWEbで連載後単行本化されたものですね

  24. miwa より:

    新聞・雑誌はその部数を漸減させつつも、ネットメディアに主役を奪われるということはないと私は思います。雑誌を広げながらだらだら昼飯を食う快感は、ネットメディアには不向きです。出先でPDA見ながらラーメン食うなんてイヤです。
    竹熊さんブログ開設待ってましたという感じです。初竹熊はファミ通のアレでした。アレとの出会いが私の多くを変えました。長く続けて欲しいです。

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