たけくまメモMANIAX

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2004年12月28日

大学課題の採点地獄について

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ebisu01蛭子能収コレクション…
昨日は多摩美の年内最終日で、学生に描かせたマンガを採点。あわせて作品のデジカメ撮影要員として、以前から俺の授業に潜り込んでいるテンプラ学生のきみやん君とマイク・ドーソン君(在日邦人)に手伝ってもらうことにしました。二人とも、はなから多摩美の学生でもなんでもありませんので、採点手伝いなどに使役しても特に問題はないのです。
学生作品で優秀なものについては、この春までには専用サイトをオープンして広く一般にも公開する予定ですので、一般の皆様はどうぞ楽しみに、また学生諸君は覚悟していただきたい。なかには結構優秀な人もいますよ。700作品中2,3人くらいは。
問題はその3作くらいの優秀作品を見つけるために、残りの697作くらいをしんどい思いをして見なければならないことです。昨年はなんだかんだで一週間近くかかりました。しかも大学からは一銭も出ないので、なかなかヘヴィーな作業なのです。これに今年は作品撮影が加わるのですから冗談ではない。そこで凸凹コンビの出番ですよ。きみやん君マイク君には悪いが、これが君たちの授業料ということで勘弁してください。


それで今年の採点ですが、もう三分の一くらいは終わったのですがなんかパッとしないです。去年は、それこそノートの切れ端にボールペンで殴り描いたような、「貴様…それでも美大生かッ」と思わず声を荒げたくなる程いい加減な作品があった反面、思わず「おおっ」とこちらが引き込まれるのもあってなかなか面白かった。大友克洋の息子のマンガも採点できたし。
ところがですよ。今年はどうも、ここまで見た限りではBクラスの作品ばかりでAクラスがほとんどありません。Cクラスも心なしか少ない。去年とは傾向が違います。去年は、Aクラスが全体の3%、Bが20%くらいで75%はCって感じだったんですけど。ちなみにDまであってこれは赤点になります。
Bが多いということは、全体のレベルは上がっているんだけどなんか小さくまとまったのばかりということで、これはこれでつまらないですよね。もう少し、漫☆画太郎みたいなパワーが欲しいところです。残りの作品に期待ですよ。
ところで去年は、なんかやたらとジョジョネタ・ドラえもんネタ・アンパンマンネタのパロディが目につきました。俺の時代のパロネタといえば「巨人の星」や「あしたのジョー」といった梶原ものが定番だったんですが、これも時代の流れというやつでしょうか。それで今年は「ジョジョ・ドラ・アンパンマン禁止」と通告したんですが、もしかするとこれが学生のパワーを奪う結果になったのかもしれないです。
できれば先生としましては、あまり制約を加えたくないんですが、放っておくと「荒木風のドラえもんと原哲夫風のび太が貧弱ゥ!貧弱ゥ!と叫びながら筋肉ムキムキでカメハメハ合戦」とか、そんなのばかりになるんですよ。これでいやしくも最高学府の学生だというのですから先生ビックリ! 多摩美といえば武蔵美と並ぶ私立美大の雄ではありませんか。しかも多摩美は入学金がバカ高いんで有名ですよ。まともに卒業するためには、親はトータル一千万くらいは覚悟しなきゃならないとか。この不景気に親にそれだけ投資させてアンパンマンですか。親ばかりではなく先生も悲しいですよ。冗談じゃありませんよ。
13お前ら俺を嘗めてんのか。こちとら伊達に44年も生きてねえんだ!ちょっとそこの、こっち来い! と、うっかり蛭子能収化(左図)しかねない自分を押さえつつ講義をしている、先生の身にもなってくださいよほんとに。楽しいマンガとかアニメとか、授業中バンバン流してサービスしてるでしょう? 日本一おもしろおかしい講義ですよ?
てなわけで、まあ私の説教が功を奏したのか、今年はその手のパロディは姿を潜めた反面、新たな問題ネタが浮上してきましたことを最後にご報告させていただき、この項を終わりたいと思います。
それは「夢オチ」です。今年はこれが異常に多いんです。もう21世紀ですよ。世が世ならビルの谷間にエアカーのチューブが走り回っていてもおかしくはない時代ですのに、夢オチと来ましたか。ジョジョ・ドラ・アンパンマンが描けなくなると、そっちに逃げますか。そうですかそうですか。この夢落ち問題に関しましてはまだいいたいことがいろいろあるのですけど、もう長くなりましたんで今回はこのくらいにしておきます。

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| コメント(17)

“大学課題の採点地獄について” への17件のフィードバック

  1. たけくま本人 より:

    ちなみに最初に掲げた「地獄に堕ちた教師ども」は大昔の青林堂版のやつです。現在出ているヴァージョンは左のオススメ本コーナーからどうぞ。

  2. 佐山 より:

    はじめまして。
    いつもお仕事拝見しています。
    大学講師をされていたとは知りませんでした。
    紛れ込んで受講したいです。

  3. K より:

    大友克洋の息子のマンガって
    ランクどれくらいだったんでしょうか
    見てみたいものです。

  4. たけくま本人 より:

    >佐山さん
    申し訳ありませんが、私の立場上、紛れ込んでもいいとは言えません。しかし勝手に紛れ込む人がいるのは仕方がないというスタンスです。
    >Kさん
    それはさすがに勘弁してください。でもひとつだけ言わせていただければ、絵は父親よりうまいかもしれませんよ。

  5. 伊藤 剛 より:

    昨年、採点を手伝った者です。
    ぼくの目についたのは、冬野さほや魚喃キリコとかの影響の広がりですね。ドラ・ジョジョ・アンパンマンパロほどではないかもしれなかったけれど。
    意外に「萌え絵」のはいないなあと言いながら下読みをしていました。
    今年はネーム段階での提出はNGにしたんですか?
    昨年、竹熊さんが「ちゃんと完成してから提出しやがれ!」と怒ってらしたのでそう推察するのですが、ひょっとしたら小さくまとまる傾向はそのへんにも原因があるかも。
    あと、ぼくも専門学校のマンガ家養成コースで講師をしていて、年度によって全体の雰囲気というか傾向がホントに変わるのに驚いています。ただ、多摩美は人数もケタ違いに多いし、いろんなコースの学生さんがいるので、一概に比較はできないと思いますが。

  6. 長谷邦夫 より:

    ほんと、年度によってガラリと変化しますね。
    今年の宇都宮の女生徒はスゴイ熱心!
    ノンビリ・ムードの男子もつい引きずられ
    マジに描き出したくらいですよ。
    南雲先生の(学会研究での)マンガ文法拒否
    された~ということは、「何を描くのか・描ける
    のか」分らない状況の彼女たちということに
    ついて認識が無かったからですね。
    ぼくは、400字2枚の<作文>(課題つき)
    から始めています。これを元に5枚のミニ
    シナリオ、そしてネーム。
    これで、初めて<作品>なるものを描く人でも
    4~16ページのマンガが描ける。
    文法はむしろ、プロ・レベルになってから
    自分が<時代に向けて新しい作品を描く>という
    自覚が出来てからでいいと思います。
    ちなみに宇都宮の生徒には『遅刻』という
    課題で描かせてみたら、結構面白いものを
    描きましたよ。

  7. たけくま本人 より:

    >伊藤君
    あ、昨年はどうも。ええと、冬野さほ系は相変わらず多いよ。あとネーム段階というか、何十ページも描こうとして完成できず途中段階で提出、というのが目立った。無理することないのに。
    >長谷先生
    どうもです。僕のほうの課題は「時間経過のある絵画表現」というはなはだ漠としてものでして、実はアニメでの提出も可なのです。まだ二年目ですので、こちらも試行錯誤の最中といったところ。近年大学がマンガやアニメを取り上げる傾向がありますが、他の先生がどう教えているのかわからないので、長谷先生の書き込みは参考になります。

  8. 田中 より:

    毎回(五回に四回ぐらい)出席して楽しく講義聴かせてもらってます。
    出るたびに「あぁあの人のハードディスクパクってきたい…。」等と思うものです。
    あぁ、赤点ってあったんだ…。確実に落とした…。

  9. 四海鏡 より:

    はじめまして。
    夢オチが多いのって、生徒の皆さんが、竹熊さんの「サルまん」で予習していたからですよ、絶対に(断言)。
    確か大友克洋氏の息子さんは、古屋兎丸さんの漫画に一コマだけゲストっぽく描いてた気がします。

  10. 明ちんこ五郎 より:

    棟奄゚まして。
    「ドカント」という雑誌を作っているのですが、そのフリーペーパー版の表紙を大友君に描いてもらっています。たま〜に〆切を守らないこともありますが(笑)、毎月、かなりハイレベルな表紙を提供してくれています。都内で配布しておりますので興味のある方はご覧になって下さい。
    また以下のHPで今までの表紙が見られるようになっています。
    http://www.dokant.com
    以前、ミクシィ内で竹熊さんの日記にリンクを貼らせていただきました。無断で貼ってしまい、申し訳なく思っております。

  11. ちぶさん より:

    >絵は父親よりうまいかもしれませんよ。
    これってすごいことですね。
    大友克洋先生よりうまい・・・・ムハー

  12. 漫画遣いに大切なこと

     以前、手塚伝説でリンクを貼った竹熊先生のブログ「たけくまメモ」に、多摩美での講義の課題として学生に描かせた漫画を採点したという話題が書かれていた。
     受…

  13. 乳首吸蔵 より:

    >ジョジョネタ・ドラえもんネタ・
    >アンパンマンネタのパロディ
    それだけで構成されているようなサイトも
    ありますよね。
    朝目新聞
    http://www.ne.jp/asahi/asame/shinbun/
    ネタとしてはそれなりに楽しめますが。

  14. アーティファクト経由(id:kanose:20041231#otomo)でたけくまblog(http://takekuma.cocolog-nifty.com

  15. blog珍品堂 より:

    本気と書いてマジと読む

     この項は無謀にも私が尊敬する作家先生のblogにトラックバックかましています。緊張します。文章がいつもよりおかしかったら、多分そのせいです、えぇ。
     私…

  16. 元タマ より:

    元タマ
    うわー、今は講義を持たれてるんですね、楽しいんだろうなぁ。
    タマを一昨年に卒業した身なので受講できず、残念・・
    とは言っても、2〜3年前に、椹木さんか誰かの特講で
    聴講したことはありますが。最高に楽しかったです。
    大友くんの近況も少し覗けて嬉しい限りです。
    デッサン力は健在のようで。
    タマ漫サイトの開設、楽しみにしております。

  17. [work]審査員になる〓

    先月の中旬、台湾のファンタジー文学を広めようとする趣旨で成立した財団法人[http://www.fantasy.org.tw/:title=奇幻文化藝術基金會]…

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