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2005年2月18日

【蔵出】結婚式スピーチ文例集

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さっきHDDの整理をしていて、こんな昔の原稿を見つけました。原稿といっても公に発表したものではなく、90年代の半ば頃、友人(染谷くん)の結婚式用に発行された文集に寄せて書いたものです。文中、染谷真心くんとあるのは新郎のことです。彼は今、編集プロダクションに勤めていて、奥さんと可愛いお子さんたちとともに埼玉県で幸せに暮らしています。

文章は、たまたま部屋にあった「結婚式スピーチ文例集」から適当に文章をリミックスし、「ちょっとボケかかった老教授がかつての教え子の結婚式でスピーチするが、途中で何を話しているのかわからなくなる」という設定でまとめたものです。久しぶりに読み返したら、結構気が狂った文章なので以下、発表したいと思います。

スピーチ

岩根澤 巌(筆記:竹熊健太郎)

 ただいま御紹介に与りましたイワネザワで御座います。お岩さんの岩に大根の根と書きましてサンズイの澤、難しい方の澤で岩根澤、名はイワオ、君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりての巌で御座います宜しく御願い申し上げ奉ります。本日は皆様遠路はるばる若い御二人の門出を祝福にお出で下さりまして誠に有難う御座いました新郎新婦並びに媒酌人に成り代わりまして不肖岩根澤、お岩さんの岩に大根の根と書きましてサンズイの澤、難しい方の澤で岩根澤、名はイワオ、君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりての巌で御座います厚く御礼申し上げ奉ります。

 どうやら年配の順で私が御挨拶申し上げるように仰せつかりましたが、先ずは本日のお慶びを述べさせて戴きますが、染谷・桜井御両家の御婚儀も全て滞り無くお済みになり、ここに新郎真心君、新婦紙袋さんとは、所謂「ともしらが」の契りを結ばれる事になりました訳で誠にお目出たい次第で御座いますが、本日ここに吉田透君、失礼、染谷真心君の晴れの席にお招きを戴きまして、透君、いえ真心君を大学時代に教えておりました不肖私岩根澤、お岩さんの岩に大根の根と書きましてサンズイの澤、難しい方の澤で岩根澤、名はイワオ、君が代は千代に八千代にさざれ石の巌となりての巌と申しますが、ともあれ本日は誠に感慨無量でして、私は真心君の一回生から卒業迄ゼミを担任致しましたが、いや二回生から四回生だったかも知れず、また三回生から二回生だったかも知れませんが、近年は歳のせいか記憶の不確かな点は御容赦戴きたいのですが、私の脳裏にあります真心君は、頭が一つ、目が二つ、あーもとい色の黒い顔の真ん中にドリルがびゅんびゅん音を立てて、違う、ええと真っ白い丈夫そうな歯を見せて何時もニコニコと嬉しそうに笑っている可愛い青年でありまして、今ここに立派に社会人となられた姿を見ますとこれでは自分の歯の無くなるのも当然であるわい、と今まで気付かないでいた歳月が今更の様に身に沁みて感じられるのであります。申し遅れましたが私の名前は岩根澤と申しまして、お岩さんの岩に大根の根と書きましてサンズイの澤(中略)

 透君、いや失礼、真心君は卒業するまで非常に腕白で通っておりましたが、四年生の新学期でしたか急に感傷的な青年になった事を覚えております、実は私の戦前の教え子の一人が予備学生として戦争の末期に九州の鹿屋から神風特攻隊として飛び立ち、遂に再び還らぬ身となったのでありますが、あれはそう昭和二〇年七月でしたか、真心君たちのゼミの卒業の少し前に、私が戦死した教え子の命日に哀悼の余りその追憶を一同に話ましたところ、一人の男子学生がワッと声を上げて机に泣き伏してしまいました。見るとそれが透君でありました。今まで戦死した西村与平という中尉になった忘れられない教え子のその生前の面影を瞼の中に描きながら話しておりました私も、吉田透君のこの号泣を見て遂に堪えかねて当分はハンケチで面を覆ったままで話を続けることも出来なかったのであります。やがて、涙一杯の顔を上げた西村与平君は、「先生、馬場とアンドレの試合、涙なしには見られませんでした」とハッキリ私に呼びかけたのでありました。そして「猪木は本当に佐川急便からお金を貰っているのでしょうか」とも。

 そんな心やさしい平和主義者の与平君が、先日まだ戦火の痕も生々しい拙宅に今回の慶びを告げに見えられて、親しくお招きを戴きましたので、私は喜んでお祝いに出席させて戴きましたが、お二人の幸福なお姿を拝見し、この若い人々こそ平成日本の中堅として、安心してこれらの若い世代にお任せ出来ると感じた次第であります。本日は皆様ようこそお出でくださりました。申し遅れましたが私の名は岩根澤と申しまして(後略)  [参考文献:結婚式スピーチ実例集(松平基光著)]


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