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2005年2月20日

手塚治虫の『バンビ』が復刻!

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teduka-bambi長谷先生の17日のブログでも紹介されてましたが、あの! 手塚治虫の『バンビ』(昭和26年・鶴書房・左図)が復刻されるとのこと。やはり幻と呼ばれていた手塚版『ピノキオ』とのカップリングで、3000円くらいの定価になるとか。俺や長谷さんが入っている漫画史研究会のMLで流れた情報なので、確度は高いはずです。ただ第一報の段階なので、版元と刊行時期がまだわからんのです(現在MLで問い合わせ中)。わかったらお知らせします。
有名な手塚さんの「バンビを映画館で80回見た説」は、時期的に考えて、この作品を執筆するための取材だった可能性が高い。当時はビデオなんかなかったですから、映画館にスケッチブックを持ちこんで、必死に模写していたのだと思われます。手塚流ディズニー調が完成するのはだいたいこの前後の時期で、『バンビ』はマンガ史的にも貴重な作品だといえるでしょう。


さて、なぜこれが幻の作品と呼ばれていたかというと、もちろんディズニーに無断で出版されていたためです。したがってその後一度も再刊されたことはなく、まんだらけで一冊数十万で取引されるのみで、講談社の全集にも入っていません。
日本にも著作権法は戦前からありましたが、一般にこの認識が普及するのはせいぜい東京オリンピックあたりからで、マンガなどではほとんど関係ないと思われていました。だからある時期までの韓国や台湾と同じで、日本も海賊版天国だった時期があったわけです。昭和20年代では、版元や手塚さんを責めるのは酷というもの。そういうことをしていたのは手塚さんだけではないですし。
ではどうして、ここにきていきなり復刻可能になったのかといえば、MLのよたろう氏情報によれば「直接、ディズニーからの依頼があった」とのこと。これを驚きと呼ばずしてなんと呼ぶのか! つうか、これ以外に刊行する方法はないわけなんですけど。
ところで手塚とディズニーといえば、有名な『ライオンキング』問題もありましたね。あれ、まずどう見ても『ジャングル大帝』のパクリなのだけれども、手塚プロの側はただ「ディズニーに影響を与えたと知ったら、天国の手塚もさぞや喜ぶでしょう」という奇妙なコメントを出したのみで、沈黙してしまいました。これを不思議に思った人は多いと思います。
metropolis-1メトロポリス手塚治虫漫画全集 (44)
真相は俺にもよくわかりませんが、だいたいの推測ならできます。可能性の第1は「手塚先生も過去にディズニーをけっこうパクッている」ので、仮に手塚プロが『ライオンキング』にクレームをつけた場合、手塚作品の過去も詮索されてやぶ蛇になることを恐れたのではないか、ということ。これは今回の『バンビ』『ピノキオ』だけではなく、たとえば『メトロポリス』(昭和24年)に登場するネズミの怪物(左図。図版は「手塚治虫初期傑作集2・メトロポリス」小学館版・1990年初版333pより引用)のような、果てしなくグレーなものもあります。『メトロポリス』は現在も刊行されてますし、他にもいろいろあるので、寝た子を起こされたくないと考えても不思議ではない。
可能性の第2としては、60年代末にアニメ版『ジャングル大帝』がアメリカのNBCで放映された際「よくわからずに著作権を丸ごと譲渡する契約を結んでしまった」というもの。当時の契約書を読まなければなんともいえないのですが、ディズニーの強気を見ると、これもあり得る話です。あちらでは著作権は転売できますしね。NBCから誰かの手に渡って、その人が権利をディズニーに売却した可能性が考えられます。
ただまあ、いずれにしても今回のディズニーの動きは大変興味深いです。本には詳細な解説がつくそうですから、いろいろ復刻の経緯もわかるでしょう。もしかして、マジで『ライオンキング』の手打ちだったりして(笑)。それにしても、ここにきて平田弘史大先生の『血だるま剣法』の復刻といい、出版界のタブーが音を立てて崩れてきましたね。
【22:00追記】『バンビ』『ピノキオ』の刊行元は講談社だそうです。刊行時期は、わかったら改めて告知します。

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