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2005年7月25日

【訃報】杉浦日向子さん死去

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http://www.asahi.com/obituaries/update/0725/001.html

今知った。ショックだ。まだ46歳だろう。若すぎる。

なぜか一度もお会いしたことはなかったのだが、同世代では極めつきの才女であっただけに、気にはなっていた。この人の『吉良供養』(『ゑひもせす』所収)は大傑作だ。マンガ家としての才能と、時代考証家としての知識が、ここまで高度な融合を遂げた例を、俺は知らない。読めば「忠臣蔵」に対する見方が180度変わる。シミュレーション漫画とでもいうのか、あるいはルポルタージュ漫画とでもいうべきなのか、吉良邸討ち入りの様子を可能な限りの史料を駆使して完全再現していて、その律儀さにも驚いたが、同時にマンガとしての面白さにも驚いた。ここでは正確無比な「考証作業」が、そのままエンターティンメントになっているのだ。いかに赤穂浪士が極悪非道で卑怯な狼藉集団であったか、吉良側の侍たちが、不意打ちにもかかわらずいかによく戦い、主君を守ろうとした「忠臣」であったか、客観的にわからせてくれた。この作品が『ガロ』に掲載されたとき、目から鱗が落ちるとはこのことかと思った。

杉浦さんの、品格のある絵も好きだったし、テレビで江戸文化を語るときの上品な話し方も好ましかった。30代に入ってマンガ家をすっぱりと引退し、好きな江戸研究にどっぷりと浸る生活に入ったのも、粋な人生だと思えた。それが癌とは。2年近い闘病生活を送っていたことも、知らなかった。ご冥福をお祈りする。

「『大義』が殊更物々しく持ち出される時多勢人が死ぬ。快挙とも義挙ともはた壮挙とも云われる義士の討ち入りはまぎれもなく惨事だと思う」「大義悉く滅す」(『吉良供養』より)

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| コメント(24)

“【訃報】杉浦日向子さん死去” への24件のフィードバック

  1. 酩酊亭日乗 より:

    [news] 杉浦日向子さんが死去

    http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050725-00000011-yom-soci ……びっくり……。 46歳。まだぜんぜん若いのに……。

  2. 訃報

    杉浦日向子さん死去。少なからずショックを受けた。まだ40代だというのに…。 改めて遺されたアーカイヴを吸収しようと思う。

  3. ああ より:

    >いかに赤穂浪士が極悪非道で卑怯な狼藉集団であったか
    わくわくしながら煽ったのは江戸の市民だったのですが

  4. Ubi より:

    誰の奥さんだっけな・・・と考えてしばし、荒俣宏さんの元奥さんでした。

  5. 匿名氏 より:

    「百物語」が秀逸で、何回読んでもそのたびに違うところでゾッとする、そんな作品でした。氏の時代ものの多くは「赤穂浪士が実は、、、」的な見方で、新鮮だとはと思うのですが、イマイチ私はのめり込めなかった。「百物語」は江戸自体の人間の死生観、幽霊感が精密なテクスチャーで再現されていて、凄いと思いました。杉浦さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。天国にも美味しい日本酒あると良いですね、杉浦さん。

  6. [雑記]杉浦日向子さん死去

     江戸風俗の研究家・漫画家の杉浦さんが亡くなってしまいました。  46歳、残念で仕方ありません。  http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050725-00000075-mai-peo  東京都生まれ。日大芸術学部中退後、時代考証家の稲垣史生に弟子入り。80年、吉原を描いた「通言室乃梅」が漫画雑誌「ガロ」に掲載されてデビュー。江戸から明治を舞台に町人や武士の生きる姿や、味わいのある夫婦の日常を描いて“文芸漫画”と評された。「百日紅」「百物語」などを発表。84年「合…

  7. 早すぎる!
    たいして本は持っていませんが、「鏡斎まいる」という連作とタイムマシンに乗っての江戸散歩、「江戸アルキ帖」は好きな作品でした。
    本当に・・・惜しい。

  8. ハンドル自粛 より:

    「お江戸でござる」の解説が変わったのはそのせいだったのか…
    あの番組は、あの方の解説も楽しみして見てました。
    作品そのものは存じませんが、ご冥福を祈ります。

  9. Good News より:

    合葬

    いやぁ、驚いた。
    荒俣宏と結婚した時も驚いたが。
    ちょっと早すぎるんじゃないか…

  10. 杉浦日向子さんのこと

     たけくまメモ で、漫画家の杉浦日向子さんが亡くなったことを知った。  あれは2

  11. enoha より:

    えっ!
    本当なんですか!
    「百日紅」が大好きだった。
    マンガ家引退したとはいえ、そのうち何か描いてくれるかもと思ってたのに、
    永島慎二さんもこないだ亡くなったし、なんかどんどんさびしくなっていきますね。
    でも、まあ、杉浦さんのことだからひょっこりと帰ってきてどこぞで江戸の研究やらマンガを描いてたりするかも・・・

  12. 水位操作

    琵琶湖水位操作についての意見書 基礎案の課題についての意見書 中間とりまとめ
    http://www.yodoriver.org/biwako/32th/pdf/biwa_32th_s01.pdf
    淀川水系の難しさがわかる報告書
    湖岸はひたひた水位が上がるから大惨事にはならないが淀川が破堤したらテラヤバスwwwwww
    そういう発言があるが滋賀県民には受け入れられないなあ
    淀川水系のダム計画の見直しも滋賀県民にとっては困った話で。。。…

  13. 凡庸なBlog より:

    追悼 杉浦日向子さん

    Yahoo!ニュース – 夕刊フジ – 杉浦日向子さん急死46歳、下咽頭がん…

  14. 杉浦 日向子さん

    杉浦 日向子さん・江戸文化の研究を通して現代の東京いや日本のあり方を考えさせられたりしました。

  15. 再び追悼について。

    [http://memo.takekuma.jp/blog/2005/07/post_86f5.html:title]  [http://mandanatsusin.cocolog-nifty.com/blog/2005/07/post_1d79.html:title]  結局昨日は色々な事が手につかなかった。  しかし、この様に自分の怠惰さを言い訳する方便として、他人の死を用いるべきでないのは無論である。  昨日のエントリを振り返るに、余計な事を云わずに沈黙するのは、実の所は自…

  16. 平成の空に江戸の星を見た〜杉浦日向子さんを偲んで〜

    あ・・★が流れた。ぼやけた東京の夜空を走る細い一筋の線があった。オヤジギャルの中尊寺ゆつこさんに続いてまた、時代を駆け抜けた40代女性が亡くなった。江戸風俗研究家で 現代に在りながら江戸に生きた粋人。NHK『コメディー・お江戸でござる』で9年間も解説をしていたからご存じの方…

  17. ちゃりお より:

    赤穂浪士のことをネットで検索しましたが吉良上野介の賄賂疑惑などあって良く分かりませんでした(汗
    一番気になったのは大石内蔵助良雄の派手な放蕩生活ですね(笑
    杉浦日向子さんの作品では百日紅が好きでした

  18. 荒巻圭子 より:

    慎んで御冥福をお祈り致します。

  19. 匿名 より:

    「百日紅」「百物語」など江戸の趣のある、杉浦日向子さんは大好きな漫画家でした。
    まだ読んでいない作品をこれからの楽しみにしていきたいと思います。

  20. [歴史][漫画][読書]赤穂浪士の正邪を巡る諸問題(杉浦日向子さん逝去に関連し)

    http://memo.takekuma.jp/blog/2005/07/post_86f5.html ・・・同世代では極めつきの才女であっただけに、気にはなっていた。この人の『吉良供養』(『ゑひもせす』所収)は大傑作だ。マンガ家としての才能と、時代考証家としての知識が、ここまで高度な融合を遂げた例を、俺は知らない。読めば「忠臣蔵」に対する見方が180度変わる。シミュレーション漫画とでもいうのか、あるいはルポルタージュ漫画とでもいうべきなのか、吉良邸討ち入りの様子を可能な限り…

  21. HAMADA13 より:

    唐沢俊一氏がアサ芸にこんな記事を書かれていました。まあ火のないところに煙は立たないので、シタタカな人だったんだろうな~と思います。

  22. アサヒ芸能記事「自己セールスの達人 杉浦日向子追悼」

    アサヒ芸能に唐沢俊一という人が「毒吐きトリビア  こんなニュースに誰がした」とい

  23. たけくま より:

    ↑僕は杉浦さんとは結局一度もお会いしてないんですけど、そこまでして自分を売ろうというなら、そもそも原稿料の出ないガロでデビューなんて考えないと思うんですけどねえ。バスタオルうんぬんは本当だったかもしれないが、理由は違うんじゃないかな。

  24. 杉浦日向子先生復刻

    今日は杉浦日向子の紹介です。 ゑひもせす 新訂版 著者:杉浦 日向子販売元:双葉

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