たけくまメモMANIAX

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2006年7月2日

『うつうつひでお日記』で「たけくまメモ」が

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Utuutuhideonikki00うつうつひでお日記

吾妻ひでお氏の『うつうつひでお日記』(角川書店)が7月10日に刊行されます(amazonで予約受付中)。アル中での闘病生活を送った後、『失踪日記』で大ベストセラーを飛ばすまでの間の鬱々な日々を淡々とつづった日記であります。

地獄からの生還は果たしたものの、吾妻先生に安心はなかなか訪れない。全盛期の仕事量とは比べるべくもなく、半ばリハビリを兼ねるかのように自分を騙し騙し仕事をしながら数年が過ぎ、刺激的な出来事は何も起きないかわり、鬱な気分もぜんぜん晴れません。が、その煉獄のさなかに『失踪日記』のベースとなる原稿を執筆していたわけで、吾妻氏の脳裏には、いろいろと期するものがあったのだと思われます。

Utuutuhideonikki03 ドラマらしいドラマがない日々にあっても、たとえば某版元から『失踪日記』の出版を断られる記述がさりげなく登場するなど、後のブレイクを思うと非常に感慨深いものがあります。ここにもさいとう・たかを氏がおっしゃるところの「才能と運」の問題が垣間見えますね。

http://memo.takekuma.jp/blog/2006/06/post_745b.html
↑才能と運の話についてはこちら

Utuutuhideonikki02_1 つまり、

作者に才能があり、作品そのものが面白くても、さまざまな理由で世に出ない本というのは、腐るほどあるわけです。

『失踪日記』も、あやうくその一冊になりかけたわけですが、捨てる神あらば拾う神ありで、イースト・プレスのKさんの目にとまって無事、出版できたのでした。

しかしそれがまさか、あんな20万部を超えるベストセラーになるなんて、吾妻氏もKさんも夢にも思わなかったことでしょう(なにしろ、初刷り数千部スタートの本でしたから)。結局、運命は吾妻氏に味方したことになります。

反対に、この本の出版を(おそらく上の判断で)ボツにせざるをえなかった某社のHさんにも、同情しますね。彼は編集者としての「運」が目の前に来ていたのに、それに気づかず見逃したことになるわけですが、

誰かが運を拾えば、誰かが運を捨てるということで、

これもまた、自然の摂理というやつでしょうか。

あと本書を読んであらためて驚くのは、吾妻氏の読書量。一日平均2冊は読んでる。全盛期であれば、こんなに毎日本を読むことは不可能だったと思われ、

落ち込んでいる時期こそ、じつは勉強するチャンス

なのだという真理を如実に教えてくれます。長い人生、病気になったり仕事がうまくいかなかったりして気が滅入る時期は誰にだってありますが、そういう時に次の浮上を信じて勉強できるか否かが、また「運」を呼び込むのだと申せましょう。

Utuutuhideonikki04 ところでこの本の「あとがき」に、『失踪日記』が出版されてからのことが少し書かれているのですが、なんとその冒頭に当「たけくまメモ」のことも載ってました! 吾妻先生、こちらこそ取り上げていただいてありがとうございました。

http://memo.takekuma.jp/blog/2005/03/post_6.html
↑おそらくこのエントリのことだろう

Tokimekil Tokimekialice1 なお、チクマ秀版社からも吾妻氏の『定本・ときめきアリス』が出版されております。元祖「萌え」作家としての真価があますところなく露呈しておる作品集ですので、若き萌えオタクの皆さんもぜひお読みになることをオススメします。現在の視点で読んでも、必ず発見があるはず。それよりなにより、エロイです!



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| コメント(43)

“『うつうつひでお日記』で「たけくまメモ」が” への43件のフィードバック

  1. たにしんいち より:

    やった!出ますか「うつうつ日記」!
    ①アル中病棟の話の続きを描くようにおっしゃっていたのをインタビューで読んだ記憶あります。続き入っているといいなあ!
    小市民的でスミマセンが「失踪日記」の中毒症状のくだりは私のアルコール依存症をやめさせるのに一助ありました。
    ②勉強量→たけくまさんが、ぶっちゃけ一週間にどれくらいマンガや本を読まれるのですか?
    ③エロい絵→エロいですよね リアルではないけどぷにぷにつるつるした感じが出てるんですよね 
    ④ギャグをやる人は、実際は暗い人で年を取ったりスランプになると鬱になる方が多いのはなぜなのですかね 劣等生の人が多く抜きがたい劣等感あること&人間のアラを見つけてそれを嗤うという行為そのものに原因があるのでしょうね たけくまさんは鬱にならないタイプとお見受けしました
    またまたぶしつけに色々長く書いてしまいスミマセン 夏痩せられるとイイですね

  2. 花筏 より:

    『失踪日記』を読んだ時の第一印象は、マンガってとんでもねぇ代物だったんだな……って事でした。
    書く方も書く方だし、出す方も出す方だ、と思ってたんですが、それが20万部とは……。
    読む方も読む方だったって事ですね、これは。
    続編が出ますか……マンガ読んでて良かったな。

  3. 花筏 より:

    えと、書き忘れてました。
    吾妻先生を、元祖「萌え」作家と表現するのは、ちょっと違うんではないかと思います。
    「萌え」の元祖となった作家(の一人)である事は間違いないと思いますけどね。
    吾妻先生が書かれている女の子がいる所は「萌え」とは一番遠い場所で、だからこそそれを何とかして自分の近くに(内に)引き寄せようとした結果が、今の「萌え」なんじゃないかな?
    キャラクター=吾妻先生の描く女の子(女性)キャラ
    そのフィギュア=萌えキャラ
    ……みたいな感じですね。
    ※これは今の萌え作家が吾妻ひでお作品のファンだったかどうか、という話ではないです。
    一つの比喩として読んで戴けるとありがたいです。
    ではでは。

  4. 小林よしのりと江川達也は本気で自殺して欲しい より:

    不謹慎な話題だとは思うのですがジャンプで自殺した人が4人いるというのは誰なんでしょうか。
    私が知っているのはちばあきお先生くらいなのですが。(マンガ界の大きな損失)どうしても気になります。

  5. osunupapa より:

    門外漢ではありますが、ギャグマンガ家の辛い所は、
    劣等生の人が多く抜きがたい劣等感あること&人間のアラを見つけてそれを嗤うという行為そのものに原因がある
    のではなくて、自分の内面に深く分け入る作業が多いせいではないかと。もちろんギャクのタイプにもよりますが。劣等生が多いとか、人間のアラをさがすってのはちょっとギャグマンガ家の方に失礼だと思います。

  6. '774 より:

    ふたつにわかれる話をみて感じた。これを藤島某さんにリメイクさせたのがみたいと

  7. '774 より:

    ふたつにわかれる話をみて感じた。これを藤島某さんにリメイクさせたのがみたいと

  8. 匿名 より:

    >ギャグマンガ家の壊れる理由
    躁鬱状態を自らの手で意識的に作り出さなくてはいけないから
    というのはないですかね。

  9. Aa より:

    長谷さま、そろそろ貴兄の出番でございます。

  10. ハナ水キ より:

    >ギャグマンガ家の壊れる理由
    ギャクの多くが「文脈からの逸脱」で形成されてることを考えると、売れてしまったギャクははからずも文脈(つまり面白くないもの)になってしまうわけで。
    漫画家に限らずお笑いの道はイバラの道ですな。

  11. よしお より:

    人様の庭先に
    更に自分と無関係な人を
    呼びつけるんじゃないよ
    無礼者
    ここに書き込んでいる人達は
    便利なデータベースじゃない

  12. 長谷邦夫 より:

    >壊れる理由
    拙著『漫画に愛を叫んだ男たち』を
    ぜひ読んでいただきたいと思います。
    赤塚不二夫に関してですが、大きな
    ヒントがあるはず。
    さらに拙著『赤塚不二夫 天才
    ニャロメ伝』(マガジンハウス)も
    お読みになると、いろいろ分って
    くる部分があるはずです。

  13. 忍天堂 より:

    「うつうつひでお日記」も面白そうですね。
    もしかして「失踪日記」のテレビドラマ化発表に併せての刊行でしょうか?

  14. たにしんいち より:

    >>長谷先生
    赤塚先生は並はずれた体力と並はずれて愛すべきサービス精神があった。(いや飲んで裸になるとかそーゆうこと抜きにですね、自分のアシスタントをしてくれた人のアイディア会議にこれだけ熱心に参加した人ってたぶんそうはいないでしょうね)
    チャーリー・パーカー的にサービス精神があったと。
    一方で赤塚先生にはスーパーマザコンであるとか抜き差しがたい「自己の影」があって、そのシャドウの部分が連続飲酒やそれなどによるスランプによって悪い意味で顕在化したのではないかと。
    吾妻先生の場合は運とか赤塚先生と比べたらマイナーだったこともあるけど、一日に二冊本を読んだという「向学心」も大きかったような、、、
    まあ究極的にはそれぞれの人生ですからマンガの賞をもらおうがアル中の後遺症で入院しようがそれはそれでその人の勝手なわけですが、、、
    たけくまさんが躁鬱にならないなあと勝手に思ったのはたけくまさんの「酒やクスリに比較的無縁なこと」「プロデューサー気質」です 相原コージさんは意図的にやってるのかもですが躁鬱的なところが結構ある感じです 

  15. そういや より:

    ZERRY藤尾氏の漫画でも、「栄養過多」で分裂する可愛い女性の話を読んだ記憶があるなあ。
    やはり、男がイメージ共有する願望の中の一つなんだろうな…

  16. 読書は勉強に非ず

    僭越ながら断言すると、吾妻先生にとっての本というのは、そんな「軽い」ものではないと思う。
    アズマニア
    吾妻ひでお
    たけくまメモ: 『うつうつひでお日記』で「たけくまメモ」があと本書を読んであらためて驚くのは、吾妻氏の読書量。一日平均2冊は読んでる…….

  17. 匿名 より:

    それ「勉強」ではないとおもいますよ…。

  18. 失踪と日記

    このブログが失踪気味ですが(汗)
    ぜんぜん人こない・・・まあ、袋小路袋小路言ってるのでもう慣れましたが。

  19. たけくま より:

    一部で誤解があるようなので、為念。
    「うつうつひでお日記」は、「失踪日記」の続編ではありません。正式な続編は、イーストプレスから出る予定の「アル中病棟」(仮題?)です。
    版元も、「失踪日記」がイーストプレスで、「うつうつ」が角川書店であります。
    ただ、同じ日記形式であることと、時期的に「失踪日記」の数年後を扱っていることから、「続編」として読めなくもない内容ではあります。が、『失踪日記』の「体験」のすさまじさを期待すると、肩すかしになるかもしれないので、そこは念頭に置いておいてください。
    ただし、吾妻さんはあの飄々としたキャラクターのまま、語りのテイストは相変わらずの吾妻節であります。

  20. ポン一 より:

    同人誌で出てたやつですよね?
    『失踪日記』と比べると相当まったりしてますよね。

  21. Aa より:

    パタリロ!の作者は壊れないですね。
    (そのかわりつまらなくなった)

  22. 花筏 より:

    >たけくま さん
    そうか、続編ではないけれど、後日談ではあるって事ですね。ご教授感謝です。
    まぁ私としては吾妻ひでおさんのその後が読めれば、というか生きていて活動されているという事が分かればそれだけでもう十分なんですけどね。
    日本漫画家協会賞や手塚治虫文化賞の受賞の話は載ってるのかな?
    もし載ったとしても、多分ホームレスやアル中の時の話と何も変わらない描写なんだろうなぁ。
    ああ、早く読みたい。

  23. だんじゅうろう より:

     吾妻ひでお先生が、鬱になった原因は、「裏失踪日記」にご本人の意見が書いてあります。
     「裏失踪日記」は「失踪日記」のブックカバーの裏に書いてあります。

  24. 情苦 より:

    >>「失踪日記」のブックカバーの裏
    ―アスキーアートのキャラクターをいっぱい出して。
    それから、田代まさしさんのネタでも描きました―

    そ、そんなの描いてたんだ・・・(汗

  25. 匿名 より:

    「失踪日記」は、特にまんがとしては、おもしろくなかった。あの吾妻ひでおがホームレスをしたり、精神病院にはいっていたというのが、興味をよぶだけ。何回も熟読したくなるようなパワーはない。

  26. ■救われる話■

    ■ぼくは立ち止まるのが苦手だ。でも■
    たけくまメモ
    http://memo.takekuma.jp/blog/
    7/2付記事:『うつうつひでお日記』で「たけくまメモ」が
    非常に救われる話です。
    ダメなひとたちに一筋の光明w?

  27. 丸々 より:

    そうかなぁ?
    近年稀に見る「何度も読み返したくなる漫画」だったと思うけど、、
    「アル中病棟」編はちょっとパワーダウン感あるけど。

  28. 長谷邦夫 より:

    >『失踪日記』
    マンガとして素晴らしい作品ですね。
    「うつ」症状の悩みは、赤塚より
    深く、自覚的である。
    その分、作家性が出ていて、
    <大人>には楽しめると思う。
    人の不幸や悩みを笑う~
    チャップリンのギャグ世界を
    体現していて、その痛む心に
    感動させられる。

  29. 杉並の園丁 より:

    ソフトな絵柄に、ハードな内容
    という組合せが新しかった。
    友だちに貸したら返ってこない。
    もう一冊買おうかな。

  30. Aa より:

    >日本漫画家協会賞や手塚治虫文化賞の受賞の話は
    夏目房さまのブログに記述がありますね、

  31. 匿名 より:

    表紙のデザインが残念な感じですね。

  32. 匿名 より:

    吾妻ひでおの描く絵(特に女の子)って、見るたびに自分の煩悩が映っているようで恐い。で、また見てしまう。
    萌えってのはもうちょっと軽い気がする。

  33. たにしんいち より:

    ↑これは言えてますね!

  34. 匿名 より:

    >Aaさん
    >パタリロ!の作者は壊れないですね。
    >(そのかわりつまらなくなった)
    「つまらなくなった」=「壊れちゃいました」なのかもしれないですよ

  35. タニシ より:

    あれ?今日売ってましたが、予定変更になったんでしょうか。

  36. たにしんいち より:

    「失踪日記」が最近やっと見つかったので裏表紙(こんなところに載せるなよなずっと知らんかった)読みました 吾妻さんの芸風では確かに精神的にきついですよね 「肉体労働の仕事の方が精神的には良いんだけど嫌なヤツばっかだから」というところが笑えた

  37. 読書と抗打つ剤と貧乏の日々

    我が家にもつい先ほど届いた。
    うつうつひでお日記
    吾妻ひでお
    404 Blog Not Found:読書は勉強に非ず先生にとっての読書、特にSFというのは、「生きていくため」のものではないか。
    それを改めて確認した一冊でもあった。…

  38. viavia より:

    Hello,
    Good work, and I agree with your opinion.
    Thank you for it!
    Kisses,
    viavia

  39. こも より:

    確かパタリロの作者さんはインタビューで「ボクはいつも7割の力でしか描かない」とおっしゃってました。
     つまり、いい意味で気楽に描いていたことが長期連載に繋がったのでしょうね。全力投球だと5年で潰れるのがピッチャーの宿命、みたいな。

  40. タゴ☆テキ より:

    日記

    「失踪日記」という漫画で「え!吾妻ひでおがこんな人生を送っていたのか!」って驚い

  41. taama より:

    吾妻先生は、失踪以前も飲み屋のカウンターに本を積んで飲みながら周りをシャットアウトして読んでる描写がありましたね。
    さらにさかのぼると、若い頃、住むとこないのにSFだけは古本で読んでたりとか。
    ぼくは鬱のときは本を読むチカラも無く、開いても目が文字の上を読む振りをして動くばかりで内容がまるで理解出来ませんでした。そういった個人的な興味からも吾妻先生の「読書の描写」に自分を助ける何かがないかと注目しています。

  42. さとぴー より:

    「うつうつひでお日記」がメインの記事ですが、「定本・ときめきアリス」の出版社のサイトからここがリンクされています。
    たけくまメモでとりあげられました!
    と狂喜乱舞する一文が添えられていました。
    雑誌に掲載されましたというのは良くありますが、出版社のサイトで、ブログでとりあげられた事を書いているのはめずらしいかも。
    http://www.chikuma-shuhan.co.jp/

    http://www.chikuma-shuhan.co.jp/books/b_detail/0455.html
    に記載と記事へのリンクがあります。

  43. タゴ☆テキ より:

    日記

    「失踪日記」という漫画で「え!吾妻ひでおがこんな人生を送っていたのか!」って驚い

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