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2007年3月21日

川内康範先生の想い出(1)

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Kawauti1 ←ダンディな川内康範先生

齢87になって、再びマスコミをにぎわせておられる川内康範先生ですが、愛弟子であったにもかかわらず礼儀を失した森進一を破門したり、押しかけた無礼なテレビクルーに向かってステッキを振り回して一喝するなど、お元気そうでなによりです。ステッキの翌日はマスコミ各社にお菓子をふるまわれるなど、怒っても気配りを忘れないところもさすがといえます。

俺が川内先生に最初にお目にかかったのは1994年8月のことでした。当時仕事をしていた雑誌『クイック・ジャパン』(太田出版)で、俺は「QJ名物老人インタビュー」と呼ばれた連載をしていました。オリバー君を日本に呼んだプロモーター康芳夫氏・「怪獣図鑑」の挿絵画家・石原豪人先生に続いて、川内先生は三人目でしたが、なにしろあの『月光仮面』『レインボーマン』の原作者であり、お元気なうちにぜひお話を伺いたいと思っていたのです。

Kawauti5 ←川内インタビューが載っているQJ創刊2号(’95年4月2日)の「中表紙」。本当の表紙は別にあるのだが、赤田編集長が遊び心でもう一枚表紙を作ったもの。写っているのが川内先生原作『ダイヤモンド・アイ』のマスクで、川内ヒーローの中でも最もサイケデリックなデザインと思われ赤田君も気に入っていました

QJは今も続いていますが、創刊から18号くらいまでは赤田祐一編集長の個人誌みたいなものでした。俺は赤田君から「50ページあげますので自由にやってください」と言われていたので、本当に好きな企画だけをやっていました。今思い返しても、ページ数も気にせずあそこまで勝手な仕事ができたのは、赤田時代のQJと、この「たけくまメモ」くらいです。現在彼が編集している『団塊パンチ』(飛鳥新社)からも仕事のオファーがありましたが、なかなかスケジュールが合わず、そうこうするうちに入院するハメになってしまいました。赤田君、お見舞いどうもありがとう。

Kawauti3 なにしろQJは10代~20代が対象読者の雑誌でしょう。ところが俺がインタビューしたかった相手は、なぜだか当時で70代ばかり(康氏だけ50代後半)でした。俺自身若者雑誌の企画として「いかがなものかな」と思っていたくらいですが、赤田編集長が「ぜひやりましょう!」と乗ってくれたので有り難かったです。面白い人は他にもいるでしょうが、もともと面白い人がそれなりの人生を積んだわけですから、面白くないはずがありません。俺の仕事を振り返っても、商業誌でこういう企画ができたのは赤田QJくらいではなかったかと思います。

川内康範先生といえば、詩人で小説家であり、『誰よりも君を愛す』『骨まで愛して』『伊勢佐木町ブルース』『おふくろさん』等、戦後の歌謡界を代表するヒット曲を作詩(詩人である先生は作詞という表現を好まれないので、「作詩」とします)した芸能歌謡界の大御所であり、『月光仮面』『レインボーマン』等子供向けヒーロー番組の原作・脚本家であり、多くの保守系政治家・児玉誉士夫氏ら民族派運動家と交流し自らも憂国論文を多数出版している民族派右翼の大物であるという経歴から、みなさんビビリまくってこれまでは雑誌にインタビューが載ることはめったにありませんでした。

俺としてはしかし、そこらのチンピラとは違い、先生のような大物は礼儀さえわきまえていれば大丈夫だという確信がありましたので、まず先生に手紙を出したわけです。住所は市販の「マスコミ電話帳」に電話番号まで出ていました(笑)。

Kawauti2 左がその手紙ですが、書くときにはさすがに緊張しました。ここには割愛しておりますが、冒頭「ワープロ書きにて失礼します」と書いたんですよ。先生の世代の場合、ワープロだと「心がこもってない!」と思われる危険があるからですが、会ってみると先生はそういう細かいことには拘らない方でしたので、杞憂だったかもしれません。

しかし、先生から「あんたの手紙、読んだよ」と言われ、その手にびっしりと赤線が引かれた俺の手紙があるのを見たときはギョッとしましたが。

ところで上に掲載した写真で、ダイヤモンドアイのマスクを付けてポーズを決めているのはです。マスクは、こないだ書いた「コレクター考」の第6回に出てきたX氏の川内コレクションからお借りしたものです。

ダイヤモンドアイといえば、レインボーマンに比べてマイナー感があるんですが、なかなかどうして、味わいのあるヒーローだったですね。目がダイヤであるだけでなく、ステッキの先まで確かダイヤになっていて、ここから外道照身霊波光線(げどうしょうしんれいはこうせん)というのを出すんです。この光線を浴びた相手は「ば~れ~た~か~」と叫んで、前世の浅ましい怪物(前世魔人)の正体を顕すわけです。

俺としてはマスコミ相手にステッキを振り回した川内先生がダイヤモンドアイに見えて仕方ありませんでしたが、おそらくは森進一さんも先生の外道照身霊波光線を浴びていたに違いありません。

くだんのインタビューでは、終了後、横にいた先生の秘書さんから「私は先生にお仕えして25年になりますが、今回は初めてお聞きする話ばかりでした」と言われ、インタビュアー冥利に尽きる仕事となりました。先生の自伝『生涯、助っ人』にも出てこない話もありますので、どうかこの秋に出る『篦棒(ベラボー)な人々』(河出文庫)にご期待いただきたいと思います。

たとえば先生は若い頃浅草で新聞勧誘のアルバイトをしていて、知らずにヤクザの親分の家に勧誘をかけてしまい、親分から「新聞は配達しろ。でも金は払わねえ」と言われたことに腹を立て「契約書に判を押せ」と迫ったところ、家の中から子分が十数人出てきてたちまち袋だたきになり、それでも「判を押せ!」と血みどろの顔で叫んだので親分から「若いの、いい度胸してるじゃねえか」と気に入られ、そこからヤクザと仲良くなったとか、まるで本宮ひろ志のマンガみたいなエピソードがあったりします。

戦時中太宰治と同人誌を作ろうとして、紙の配給を分けてもらうため当時文壇のボスだった武者小路実篤に直談判した話とか、東京大空襲で焼夷弾が雨アラレと降り注ぐ中、「陛下が危ない!」と直感した川内先生は天皇を救おうと皇居まで走ったが、途中逃げ遅れたおばあさんを背負って日比谷公園から丸の内まで走ったとか、終戦直後、上陸してくる進駐軍を迎え討つため右翼とヤクザを集めてゲリラ部隊を組織したとか、まるで月光仮面なのか死ね死ね団なのかよくわからない逸話の連続で、手前味噌ですが面白さは保証いたします。たぶん9月発売です。(つづく)



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| コメント(32)

“川内康範先生の想い出(1)” への32件のフィードバック

  1. nomad より:

    いや、竹熊さんの手紙も、これも大変な名文だと思います。
    これはグッときました。
    なんか、俺もガンバロウ、って思えてきましたよ。

  2. めたろう より:

    戦中戦後の話は迫力がありそうで楽しみです。
    不勉強にも、竹中労さんとの親交に関して、
    今回Wikiで初めて知って驚いたのですが、
    言われて見ればさもありなんという挿話であります。
    インタビューの趣旨と違う様ですので、その辺の話は出てこないのでしょうか?

  3. たけくま より:

    ↑俺のインタビューには、竹中労の話は当然出てきます。しかも、竹中が赤軍派に会うためパレスチナへ行く旅費を出したのは川内先生なのです。俺から見るに、川内先生は平和憲法護持論者で、天皇に戦争責任があることをめぐって国士・児玉誉士夫とも論争した人ですし、たぶんにアナーキズム的傾向もあります。そこらで「極左」竹中ともウマが合ったようですね。先生は自分のことを「右翼」とおっしゃいますが、単純に右左ではくくれない人だと思います。

  4. 和田アキ子、森進一に理由なき怒り! “難問解決”への提言はなし

    歌手、和田アキ子(56)が20日、東京都渋谷区のNHKで、レギュラー出演する4月8日スタートの同局「にっぽんの底力」(日曜前10・5)の会見でおふくろさん騒動の渦中にある歌手、森進一(59)へ怒りを露わにした。 隔週の「難問解決!ご近所の底力」と月1回の「いよっ日本一!」の2番組で構成。「難問解決���」のご意見番を務め、同局情報番組のレギュラーに初挑戦する和田は今、怒っていることに飲酒運転�…

  5. エイジロー より:

    す、すげえオモシロい!!
    今回の記述だけでも、
    ベラボーさにうたれ、
    「ドヘッ」「ぐあっ」とか声を上げながら、
    身悶えしてしまいました。
    川内大人、耳毛は伊達じゃなかった!
    マンガに描いたら、こんな人間いないよって編集に言われるね。

  6. HAMADA13 より:

    おもしろい、おもしろすぎます。
    子供の頃見たレインボーマンが川内先生によるものだと今初めて知りました。
    コンドールマンもそうだったのですね。
    コンドールマンのオープニングの歌詞もすごいものがありましたねー。
    「何処の誰から頼まれた?命を賭ける価値もないそれほど汚れた日本の人の心が生み出した…」
    http://www.youtube.com/watch?v=NxvNzTwDIZ0
    うーむ、すごすぎる。
    図書館で『生涯助ッ人回想録』と『箆棒な人々 戦後サブカルチャー偉人伝 』1998.8 太田出版を予約しました。
    読むのが楽しみです。

  7. 漫バカ日誌 より:

    宮崎駿の製作中の今年公開作のタイトルが発表に。(少し前だったけど)
    タイトル       「崖の上のポニョ」
      原作・脚本・監督  宮崎 駿
      音楽         久石 譲
      プロデューサー   鈴木 敏夫
      制作         スタジオジブリ
      公開         2008年夏(予定)
    「ボニョ」というのは、
    人面金魚のような海水棲の生き物の名前らしい。
    手描き感重視で、バリバリ枚数いくらしい。
    腱鞘炎再発大丈夫か?世界の巨匠。
    3月27日のNHK「プロフェッショナル」で、
    制作風景やるだろうけれども。

  8. Aa より:

    WIKIの『ダイヤモンド・アイ』をリンクしておきます。
    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%89%E3%81%AE%E6%88%A6%E5%A3%AB_%E3%83%80%E3%82%A4%E3%83%A4%E3%83%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%A2%E3%82%A4
    かすかに主題歌の締めのところを覚えていますが、どんな話だったのかは忘却の彼方。
    東宝の制作なのですね。スペクトルマンのなんとかプロだと思ってました。

  9. Aa より:

    >「ボニョ」というのは
    ポニョ、ですね。

  10. ppn より:

    以前から川内先生の伝説は聞こえ聞いていましたが、やはり「どえらい人」なんですね。マジでマンガの主人公のような・・・
    最近よくネットで右翼、左翼に人間を簡単に分類したりする傾向がありますが、そんなチンケな枠では図れない「(自分の中にスジの通った)正義感の強い」人なのでしょう。マスコミも単に変人扱いしないで、こういうちゃんとした面をきっちり報道してくれればいいのですが、結局「ステッキ振り回す言いがかりジジイ」にしてしまうんですよね・・・

  11. めたろう より:

    たけくま様 ご教示ありがとう御座います。
    おお、と声のでそうなお話です。
    改めて竹中さんの年譜を見返せば、
    そういえば終戦直後に引き揚げ運動に関わってらっしゃる。
    するとその頃から兄貴分として、表に出ない援助も多々あったのでしょうか、、、。
    「左右を弁別せぬ志」は、実のある裏付けに依拠していたのですね。
    伝説の霞の彼方の星星がつながって、これぞ
    「漢の星座」であります。

  12. うりかねぐん より:

    たけくま先生、復活おめでとうございます。
    QJの川内先生インタビューは、本当によい仕事だったとつくづく思います。大げさでなく、その後の私の人生に強烈に影響しました。川内先生の一字一句を諳んじるまで読み返したものです。
    レインボーマンは本来、当時の100倍の予算と十分な時間をもって制作すべき内容でした。あの番組で笑いを取ってしまった部分は、すべて深刻な予算不足・時間不足を熱意で補った結果です。

  13. あかさたな より:

    川内氏って「まんが日本昔ばなし」にもかかわってるんですね。
    どえらい人だ。

  14. 漫バカ日誌 より:

    >ポニョ、ですね。
    ごめん打ち間違い。
    PONYOです。

  15. 永田電磁郎 より:

    川内先生、かっこいいです…。

  16. たにしんいち より:

    暴力を使って平和を達成しようとしたにんげんはもっと極端な状況下になるとウルトラ暴力を発揮すると思う

  17. 国立珠美 より:

    『篦棒な人々』はたのしみですが、「天井桟敷の人々」のほうは単行本化しないんでしょうか。ずっと待ってたのに。

  18. 黒酢 より:

    ↑病み上がりの人に、あんまり無茶言うなって。

  19. ano
    実篤翁も同じ大きさがええです…
    仲良きことは 白樺派。

  20. ばブログ より:

    「おふくろさん」問題で話題の川内先生の生き様が凄すぎる

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  • 瑠璃子 より:

    『篦棒な人々』はもう三冊ぐらい購入しましたが、すべて借りパクされて、古本買うのもなあ…と思っていた次第です。文庫本出るんですね。とても楽しみにしてます。
    ちなみにQJは18号まで全巻キープしてますが、赤田編集長でなくなってからは購入しなくなってしまいました。面白いとは思うんですけれども…。

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