たけくまメモMANIAX

« | トップページ | »

2007年7月17日

俺の“難民”時代(1)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Share on Facebook

ええと、前のエントリ「フジでオマイラキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!」(リンク→)で、「俺も昔はネカフェ難民みたいなものだった」みたいなことを書きました。ネカフェ難民のニュースを見ると、どうもそのことを思い出してしょうがないんですよ。俺の 『私とハルマゲドン』(ちくま文庫)にも出てくるエピソードなんですが(※注)、あの本は現在入手困難ですので、ミクシイ日記にそのことをちょっと書いたんですね。そしたらわりと好評でしたんで、加筆してあらためて「たけくまメモ」に掲載することにしました。

なんで俺が「難民」になったかというと、これはブログでも書いたと思うけど、直接的には親(母親)との確執が理由で、このままだと家庭内暴力に発展しかねないので自分から家を出たわけですね。1981年の初春、俺が20歳の時です。

でも家出た理由はそれだけではなくて、文筆とか編集のようなクリエイティブ方面に進みたかったというのもありました。普通はちゃんと大学出て出版社に就職するものなんでしょうが、俺の場合は高校時代から趣味(ミニコミ製作)にはまって学校の勉強を全然しなかったので、成績は惨憺たるもので、大学はどこも全滅でした。

一浪して、美大系予備校行って、唯一桑沢デザイン研究所(大学並みの入試がある)には合格して、そこに通ってたんですが、別に専業デザイナーになりたかったわけではありませんでした。1年生の途中で俺のミニコミを見たエロ本編集者から編集部に誘われたので、学校を辞めて、ついでに家も出てしまったというわけです。学校には届けも出さずに行かなくなったので、抹席か除籍ですね。よく俺のプロフィールでは専門学校中退と書かれることが多いのだけど、そういう次第なので俺の最終学歴は高卒であるはずです。

それにしても、その桑沢に今では講師として通っているのだから、世の中何がどうなるかわからないものですね。もうひとつ講師をしている多摩美にしても、28年前に俺を落とした大学だし(笑)。

誘われた出版社は、俺の世代にはたぶん懐かしい自販機本専門のアリス出版というところでしたが、正社員として入ったわけではなく、身分はあくまでフリーランス。バイトみたいなものです。社員はほぼ全員が元全共闘かヒッピー崩れで、まともな入社試験があったとも思えないし、俺を編集に誘ったX氏にしても正社員だったのかどうか知りません。そのくらい、いいかげんでアングラな世界でした。

それでしばらくはX氏のアパートに厄介になってたんですよ。X氏は俺より1歳だけ年上だったんですが、高校時代にやはり親とぶつかって家出していた男で、その方面では俺より圧倒的に経験豊富でした。

それでさかんに「家を出ろ、家を出ろ」と勧めてきたんだけど、俺は貯金もないし、行くあてがない。そしたら「俺の家に来い」というんで、お言葉に甘えてバッグひとつで押しかけたんですよ。今思えば、彼も俺が本当に家出してやってくるとは思ってなかったんじゃないかな。俺としては、家を出るいいキッカケになったということですね。X氏は迷惑だったかもしれないが、俺に家出を勧めた罰だと思ってください(笑)。

X氏は、もうひとり雑誌スタッフを誘っていて、それが後にマンガ家デビューした藤原カムイでした。X氏が編集長で、俺、カムイが机を並べてエロ本作ってたんです。カムイは東京出身だし親とはうまく行ってたから家出する必要はなかったですけどね。高校時代からマンガを投稿してて、一時はジャンプでデビュー寸前まで行ってたけれど、担当と喧嘩してデビューを断念した。それから別の雑誌で連載することになって描き始めていたんだけど、掲載寸前になって、今度はその雑誌が休刊してしまったと。デビュー前の彼はそんな不運の連続で、しばらくはエロ雑誌でデザインやイラストの仕事をやってたんですよ。

俺、そのころまでは漠然とマンガ家になりたい気持ちもあったんだけど、彼と出会ったことでその気持ちは吹き飛びました。あんなに絵のうまい奴に会ったのは、人生で初めてでしたね。しかも驚いたのは、彼が休刊した雑誌に連載するつもりで描いていた作品を、その後もコツコツ描き続けて、約1年がかりで最後まで完成させてしまったことです。120ページくらいの作品ですよ。担当もおらず、掲載する雑誌もないのに、自分で締め切り決めて毎月1話ずつ描きあげてた。俺にはとてもあんな根性はないですね。その作品は後に『彼方へ』というタイトルで単行本化もされてます。古本屋で探せば手に入るかも。

ああ、うっかり「難民」から話がそれてしまいました。長くなったので次回へ。《つづく》

※注 現在『私とハルマゲドン』は品切れ中で増刷の予定もないみたいなので、そのうち全文をネットにアップしてダウンロード自由にするつもりです(筑摩書房の同意も得ています)。かねてから予告している「たけくま書店」サイトのほうで読めるようにしたいですが、忙しくてなかなかサイトが作れないでいます。どうしても読みたい人は古書で入手されるか、「たけくま書店」が開店するまでしばらくお待ちください。

たけくまメモMANIAX

| コメント(35)

“俺の“難民”時代(1)” への35件のフィードバック

  1. より:

    カムイ氏の初期のマンガに、ストーリーとは関係無しに
    全ページ通して1つのパラパラ漫画になってるのがありましたね。

  2. 入院中でもネットが使いたい!

    凄いですね?。病院とはいえあの殺伐とした環境から、
    少しでも活気が生まれるといいと思います

  3. あ~ より:

    >『私とハルマゲドン』
    なぜか文庫本を持っています。
    オウム事件をダシにした自分語りのオンパレード、という
    以上の印象は受けませんでした。
    でも、ここの常連になってしまった自分が今読んだらどう思うんだろ。

  4. たけくま より:

    ↑まさにオウムをダシにした自分語りの本以外のなにものでもありません。自分語りの決定版として僕はあの本を書きました。

  5. cx より:

    全文を一度にアップするよりブログで1ページずつとかちょくちょく連載してくれた方が読みやすいと思います。

  6. 炭鉱夫 より:

    "自分語りのオンパレード"…
    いったい誰の(ry

  7. あ~ より:

    >自分語りの決定版として
    本気でそう思ってるんですか?

  8. たけくま より:

    ↑そうですけど?

  9. 修蔵 より:

    「私とハルマゲドン」読みそびれてたので
    期待してますよ~

  10. より:

    『私とハルマゲドン』は多分サルまんの人が書いた本だというくらいの認識で読んだと思います。
    たけくまさんの「サブカルの先輩」みたいな人の話が印象に残っていて、こいつ胡散臭いな~と思いながら読んでいた記憶があるのですが、今ざっと読み返したらそれがX氏でした。
    しかも「サブカルの先輩」というより「ドラッグの先輩」でした。
    案外覚えていないものです。
    今読むとまた印象が違うかもしれません。

  11. 国立珠美 より:

    太田版持ってるからいいんですが、ダウンロード自由って課金はしないんですか。アフィで稼ぐより手っ取り早いと思うんですが。『私とハルマゲドン』はアマゾンのユーズド商品で安く買えるし、最近の本が全然増刷しないのってアマゾンのせいでしょうかね。

  12. たた より:

    『私とハルマゲドン』太田出版
    上梓された当時に読みました
    竹熊先生の極個人史が経時的に描かれている訳で
    自分語りにほかならなないのですが
    自分語りが時代語りともなり、
    それでいて時代だけに縛られない、
    どの登場者からも読み解くことが許される著書でありました
    ですから、私とハルマゲドンで正しいのだと納得した思い出があります

  13. nomad より:

    >>自分語りの決定版として
    >本気でそう思ってるんですか? [あ~]
    >↑そうですけど? [たけくま]
    このシュールなやりとりを読んで訪れる、この、なんというか、俺の感情の起伏を誰か言葉にしてクレwww
    なんかもだえるwww

  14. ポン一 より:

    『彼方へ』はカムイさんの作品で一番好きです。80年代に出たカムイさんの本は、作品単位では微妙なものもありますけど、単行本単位では大体どれも好きですね。『おいね』とか、掲載誌でリアルタイムで読みたかったものです。

  15. バスユアペット より:

    たけくま書店・・・
    決してこの先開店せぬであろう夢の書店・・・

  16. Mアさファ より:

    図書館で最近読みました。
    こんな危険な事を書いてらしたのか、
    と思いました。

  17. こぶ より:

    >>自分語りの決定版として
    >本気でそう思ってるんですか? [あ~]
    >↑そうですけど? [たけくま]
    べつにシュールでもなんでもないやりとりだ。
    あ~がいつものように、
    きっついイヤミをかました(いい加減にしろよ)が、
    たけくま氏はクールに受け流したというだけじゃん。

  18. レスレスレ より:

    「私とハルマゲドン」はなぜかオレももってるな、文庫本だが。「さるマン」はもってないけどなぜかこれはある。タケクマさんの本はこれ1冊しかないな今んとこ。オレはいろんな意味で面白い興味ぶかい本だとおもったなあ。「俺とハルマゲドン」と書いてる人が別エントリーにいるけど、この「俺」題のほうがいい感じがするな、むしろ。

  19. 小心者 より:

    竹熊先生の高校時代に作っていたミニコミも
    読んでみたいです。
    この前しょこたんの本を読んでいたら、
    高校時代のクラスの友達のお父さんが藤原カムイさんで
    サインをもらったという話が書かれていました。
    カムイさんの名前が出て来た時、思わず
    竹熊先生の事を思い出しました(笑)。

  20. ああーんん より:

    あ~がいつものように、
    きっついイヤミをかました
    →オバハンはヒマでいいよね、仕事も何もしなくて食べていけるし

  21. メル変ひじきごはん より:

    H_2Oですねえ、やっぱし。
    あの水感覚は後にも先にも。

  22. nomad より:

    >>こぶさん
    僕はシュールに感じましたがね。
    たけくまさん自身が、自分語りと言っているのに、「本気でそう思ってるんですか?」って、たけくまさんよりもたけくまさんを知っている人がいるのか? って話で。
    じゃ何て答えりゃいいのか、と。
    「本気でそう思ってるんですか?」
    「すいません、実は本気じゃありません」
    「そうですよね。やっぱりアレは私が指摘したように、未来へのメッセージが込められているんですよね」
    「そうですアルデバランの第三惑星星人から重要なメッセージを私はあなたたちに、特にひじきごはんさんにとどけにきたのです」
    「本気でそう思ってるんですか?」
    「そうですけど?」

  23. nomad より:

    なんか「この小噺のおもしろいところはー」てなかんじになってしまった
    やっぱりだれかほかのひとに

  24. たにしんいち より:

    「いやー山口組も最近調子イイですねー!」
    「本気でそう思っているんですか?」
    「いや、本気じゃありません、、、」
    「山口組っていってもね、本家から枝の枝までいろいろですよ、本家と枝ではね話の持っていき方が違うんですよ」
    「はい、そう思います」
    「本気でそう思っているんですか?」
    「いや、本気じゃありません、、、」
    だめだnomadさんのを踏襲しただけだ、、、

  25. こぶ より:

    >>nomadさん
    これはそういう意味のやり取りじゃないんだけど。
    >「自分語りの決定版として」
    という言葉を、
    たけくまさんは“‘俺の’自分語りの決定版として”との意味で、
    言っているのに。
    あ~氏は、それを
    “自分語り‘文学’の決定版として”と意図的に解釈して、
    >本気でそう思ってるんですか?
    と皮肉たっぷりに言っているんだよ。意地悪く。
    判った?

  26. q より:

    ・・読解力の問題か。

  27. nomad より:

    > “自分語り‘文学’の決定版として”と意図的に解釈して、
    すまんそういう電波は受信できなかった

  28. どろれす より:

    え?電波じゃないでしょー。
    もう一回順番にコメントのやりとりを読んでみたら?
    でも、解らないものなんでも「シュール」と言ってしまうのは、
    いい手だとは思うけど。

  29. X虎 より:

    シュールな電波は受信してるわけか。

  30. 時給1ドル より:

    nomadの勘のにぶさにはイライラさせられるな。

  31. ちょっと通りますよ より:

    ↑ そうかな?

  32. おf より:

    ↑イライラw

  33. どっちが より:

    >あ~氏は、それを
    >“自分語り‘文学’の決定版として”と意図的に解釈して、
    >>本気でそう思ってるんですか?
    >と皮肉たっぷりに言っているんだよ。意地悪く。
    >判った?
    コレの方がよほど意地悪いよな。
    あ〜はまだ竹熊さんへの愛情を感じる。
    (かまって欲しいって類いの厄介なもんだが)

  34. おk より:

    ↑はいはいシュールシュールww

  35. タロト より:

    >あ~はまだ竹熊さんへの愛情を感じる。
    ア○。粘着だよ。ただの。
    文体にだまされたか?

« | トップページ | »