たけくまメモMANIAX

2014年1月16日

「平田弘史先生訪問記」(全)

P10001102005年5月。私のこの世でもっとも尊敬する劇画家である平田弘史先生の伊豆のご自宅を訪問する栄に浴しました。このたび「電脳マヴォ」に平田劇画の最高傑作「仕末妻」を掲載するにあたり、この訪問記を再録いたします。平田先生の、漫画家、劇画家の枠に囚われない「漢の信念」の筋が背筋に通りまくった自由奔放な世界を、どうか読者の皆さんご堪能ください。

なお今回再録の「仕末妻」は、青林工藝舎「それがし乞食にあらず」に収録された版を底本にしました。快く再録をお許し下さった平田弘史先生、青林工藝舎・手塚能理子さんに深く感謝するものです。(2014年1月117日・竹熊記)

平田弘史先生にお会いしてきました。豪放磊落な漢(おとこ)の中の漢・現代社会に生きる武士道精神の化身(実際にチョンマゲを結っておられる)ともいうべき平田先生ですが、初対面の私ごときにも大変フレンドリーに接してくださり、本日ばかりは心の底から「生きててよかった!」と思える一日でした。さすがは抱かれたい漫画家ナンバー1ではないかと筆者が勝手に脳内認定する平田先生であります。改めて先生と奥様、そして案内してくださった青林工藝舎の浅川満寛氏には深く感謝する次第であります。

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2013年8月19日

特別座談会~「ファミ通のアレ(仮題)」の歴史を検証する

「電脳マヴォ」で絶賛再掲載中の『ファミ通のアレ(仮題)』。これは、1993~95年に「ファミコン通信」(アスキー、以下「ファミ通」)で連載された、「ゲームマンガを描きそうで描かない変なマンガ家の変な連載マンガ」というコンセプトの作品だ。某日、突如として竹熊に召集をかけられたマンガ家の羽生生純氏、担当編集者(当時)の国領雄二郎、広瀬栄一両氏が、戸惑いながらも『ファミ通のアレ(仮題)』の歴史を検証する!(構成・有馬ゆえ

 ■出席者

羽生生純 マンガ家。『いってミヨーン やってミヨーン』(コミックビーム)連載中。

国領雄二郎 「ファミコン通信」編集者(当時)

広瀬栄一 「ファミコン通信」編集者(当時)

竹熊健太郎 「電脳マヴォ」編集長/京都精華大学マンガ学部ギャグマンガコース教授)

●歴史1 『ファミ通のアレ(仮題)』は、「ファミ通」にマンガ編集者がいなかったからこそ生まれた

竹熊 羽生生くんは、当時はまったくの新人でしょ?

羽生生 そうですね。「ログイン」で新人賞をもらって、「増刊ファミコン通信」に描いた『ししゃもシスターズ』でデビューしました。

竹熊 その前からマンガ描いてたの?

羽生生 え~っ、そこから始めるんですか?

竹熊 いや、聞いたことないなと思って。

羽生生 もともと高校時代に8ミリ映画同好会に入っていたんですが、卒業後、何かお話を作る仕事をしようと思いまして。でも、映画は人と関わらなければいけないから嫌で、一人でできるものがマンガだったんですよ。

竹熊 でもさ、ほとんどマンガとか描いてなかったでしょ?

羽生生 落書き程度ですね。ちゃんとした描き方は知りませんでした。「ログイン」があってよかったですよ。普通のマンガ雑誌に出してたら、絶対にデビューできなかった。

竹熊 やっぱり90年代頭にアスキーが出してた雑誌って、独特のノリがあったよね。

広瀬 「ログイン」にも「ファミ通」にも、コアなファンがいて。

竹熊 社内も、会社なんだけどサークルノリみたいなムードがあった。素人が出版してるみたいな。90年代頭のころって、「ファミ通」が一番売れてたころじゃない?

国領 そうですね。発行部数が公称で70万部、実売で50万部行ってたのかな? 実売が70万部で公称は100万部だったのかな。うろ覚えなんですが……。

竹熊 大変な数字だよね。

国領 ちょっと異常。あり得ないですよ。広瀬さんは知ってると思いますけど、タクシーも乗り放題だったし。

広瀬 バブルが残ってたよね。

羽生生 『ファミ通のアレ(仮題)』を立ち上げるとき、当時の編集長だった浜村さん、竹熊さん、国領さんなんかと、最初の打ち合わせをやったじゃないですか。その会場が青山の高そうな焼肉屋で、驚いたんですよ。

国領 あ~、そうでしたね。

羽生生 やっぱり、「ファミ通」って調子いいんだなと思ったんです。

竹熊 羽生生くんと最初に組んだのは、「アイコン」で連載してた『竹熊の野望』だよね。挿絵を描いてもらって。

国領 それつながりで、『ファミ通のアレ(仮題)』の作画は羽生生さんに決まったんですよ。初め、羽生生さんは作画担当の候補の1人だったんですが、打ち合わせのときに竹熊さんが「『アイコン』でも組んでいて慣れてるし、羽生生くんがいい」と言って。「でも、ページ構成のマンガをできるのかな」と心配していたのをよく覚えてます。

竹熊 まだ新人だったからかな?

国領 竹熊さんご自身が、羽生生さんの描いたコマ割のマンガを見たことがなかったのもあると思います。そういえば、連載前、竹熊さんの家に初めての打ち合わせへ向かう電車の中で、浜村さんと金田一さんが「『サルまん』をやってほしい」と話していて……。

竹熊 まぁ、そのころは、みんなそうだったんですよね(苦笑)。

広瀬 今読むと、「こんなエッジの効いたマンガを『ファミ通』に載せちゃうの?」みたいなところはありますよね。

竹熊 それも当時の「ファミ通」のアマチュア感覚のおかげですよ。

羽生生 枠組みがガッチリしてるプロフェッショナルなやり方だと、規定路線にはまっちゃうんですよね。アマチュアっぽいふわふわした感じだったから、変なほう、おもしろいほうに転がっていくことができた。

国領 アマチュアっぽいというか、特にマンガに関しては……。

広瀬 私が初めてマンガを担当したのは桜玉吉さんなんですけど、会社の人がまったくマンガの編集について教えてくれなくて戸惑った記憶がありますね。

国領 いないんですから、マンガの編集者が。だから、マンガ家さんのところに行って、できるだけオーダーを聞いて、締め切りを守って、という作業だけで必死。

竹熊 あの素人くささが、僕には心地よかったんだよね。素人には素人のよさがあって、たとえば80年代ってアマチュアがどんどんプロを超える仕事をやり始めて、話題になった時期でしょう。ガイナックスが出てきたり、そういう時代だったよね。

羽生生 「ログイン」自体が、コンピューター雑誌という枠を借りて好き放題やってたじゃないですか。「ファミ通」は、その中から出た雑誌だから、血を受け継いでいるんですよね。メインはゲームなんだけど、逆にゲームさえ載っていれば何をやってもいいっていう。『ファミ通のアレ(仮題)』は、そういう流れの中でできたマンガなんだと思うんですよ。逆に、ゲームマンガをやるのに使わないっていう縛りがあるから、いろんなバリエーションの話ができていったんじゃないかな。

国領 最悪、「ゲームは、タイトルに入ってるからいいか」って感じですよね。僕も、普通の人と比べたらゲーム好きだろうけど、「ファミ通」編集部の中ではゲームに関してダメなほうだったし、そんなに情熱も持てなかった。ただ、たぶん上司はそれをわかってくれていたから、好きにさせてくれていたのかな、と思いますね。

羽生生 僕たちにも、同じ時期に「しあわせのかたち」がどーんと行ってたから「その隙にやっちゃえ」みたいな雰囲気もあったような気がするんですよ。

竹熊 (桜)玉吉だって相当むちゃくちゃやってたよね。実験しまくってたもんね。

広瀬 そうですね。特に暗黒舞踏のマンガ。あれ、電話で「売れないマンガ家か武道家だったらどっちがいい?」って言われて「いや、武道家です」って言ったら、暗黒舞踏だったという……。

●歴史2 「明らかに子ども向きじゃない絵」を描く羽生生純の部屋に、エゴン・シーレの画集

羽生生 そもそも、カラーで4ページって形が、なかなか存在しないですから。もともとは、「しあわせのかたち」とか「あんたっちゃぶる」の形式にのっかって企画されたんですよね?

国領 フルカラーっていうのが絶対条件でしたね。最初のころの打ち合わせでは、竹熊さんが「フルカラーで8ページはほしい」って言ってたんですよ。

竹熊 そうだっけ?

国領 はい。でも、新人にいきなりフルカラー8ページは厳しいだろうって話になり、4ページに落ち着いて。それでも、なおかつ安全策として連載前にストックを3~ 4話作りましたね。竹熊さんの家に3人で合宿して。

竹熊 そのころは、羽生生くんはまだ長野に住んでたんだっけ?

羽生生 いや、都内には住んでました。ただ、連載が始まったら竹熊さんの家で毎週打ち合わせするから中央線沿いがいい、と阿佐ヶ谷のアパートに引っ越して。

国領 そのとき、「敷金礼金がない」ってつぶやく羽生生さんを見て、竹熊さんが「国領くん、なんとかしてよ」って言って……。僕、そのとき24、25歳ですよ? 竹熊さんが言うからには応じるしかないと思ったけど、会社に頼んでも出してくれるはずがない。当然、貯金もない。仕方ないから、キャッシングで20万円か30万円借りて、渡しましたよね。

羽生生 ……記憶があんまりない。

国領 そうですか……。ただ、すごいまじめだなと思ったのは、半年後に2回分割で返してくれたんです。

羽生生 金を使うあてがないというか、毎週これでいっぱいいっぱいで遊ぶ暇もなかったから、金だけはすぐに貯まったんですよね。

竹熊 そんなこと、あったんだ。ちなみに、ストックはどうなったんだっけ。

国領 2カ月ほどでなくなりました。竹熊さんにすごくいい笑顔で「いやぁ国領くん、やっぱりなくなったね」って言われて、愕然としたんですよ。最初は、「季節とかずれそうで心配だね」とか話してたのに……。そうだ、このとき「ファミ通」編集部に広瀬さんいましたよね。

広瀬 いましたよ。

国領 連載が始まってすぐ、僕が上の人に怒られてるの、見てたでしょう? 要するに、絵柄が子供向けじゃなかったんですよ。

竹熊 子供向けではないよね(笑)。

国領 それをわかってオーダーしてるはずなのに、偉い人って色校だけ見るじゃないですか。で、「この毒々しい色、何にも思わないの?」って。

竹熊 色については、最初のころは僕も「もうちょっと子供向けの色使いできないかな」って思ってた。闇夜の烏みたいになっちゃってたもんね、たまに。

羽生生 単行本化のときに、何話か塗りなおしたんですよ。

国領 線画のコピーを取ってあったんですよね。

羽生生 線画をコピーして、それに着彩してました。塗りを間違えたら、そのページはまた1から塗り直して。

竹熊 普通は、いきなり新人のマンガ家にカラー原稿って発注しないよね。

羽生生 だから俺、塗り直しが怖くて、引っ越してすぐにコピー機をリースしたんですよ。6畳くらいのアパートに、冷蔵庫も洗濯機もないのにでっかいコピー機だけ置いてある。そんな部屋で仕事してました。

竹熊 その羽生生くんの家に行ったとき、やっとね、羽生生君の絵の秘密がわかったの。マンガがほとんどなくて、エゴン・シーレの画集だけあった。それで、納得して。

羽生生 普通のマンガのあるべき形っていうのが想像できてなかったんですよ。しかも、最初にお話をいただいたときに、確か国領さんだったかな、「抜いた色だと手抜きに見られちゃうから、ちゃんと描いてくださいね」って言われた記憶があって……。それで、「描かなきゃ」と思って、毎週びっちり塗ってたんですよ。

竹熊 だから、塗りすぎちゃってたのか。

国領 結果として、それがオリジナリティーになっちゃいましたね。

竹熊 ちょっと分類できないマンガになったね。

●歴史3 「尿療法」「南方熊楠」「中世ヨーロッパ」、そして伝説の「バカルン超特急」

国領 最初、絵とか内容に否定的だった僕以外の人間が「おもしろい」って言い出したのは、「思い切って尿療法」(「健康修羅地獄」http://mavo.takekuma.jp/famiviewer.php?id=21)あたりからですね。楳図かずおさんの絵真似が出たりしてから、編集部での周りの目が「国領が変なことやってるよ」ってトーンから一変したという体感がありました。

竹熊 最初の数回は「これは大丈夫かな?」という不安もあったけど、「思い切って尿療法」のあたりからノリが出てきましたね。

羽生生 国領さんの必殺技も、当時のノリとしては、かなり古めかしいギャグじゃないですか。

竹熊 ドツキ漫才だよね。「バカルン超特急」って言葉は羽生生くんが考えたんだよね。

羽生生 確か、そうです。

竹熊 僕の記憶では「ここで何か決めゼリフない?」って振ったら、羽生生くんが「バカルン超特急」って出してきて、これは傑作だと。

羽生生 毎回、普通だったら恥ずかしいくらいのことを堂々とやるっていうパターンができてから、固まってきたような感じがします。

竹熊 よく出たよね。あれ、ヒッチコックの「バルカン超特急」でしょ?

羽生生 当時「ログイン」で「バカチン市国」っていうコーナーがあって、もじり方をパクったんだと。

竹熊 あれは子どもがやるダジャレみたいな感じで、すごいよかった。

羽生生 「バカ」って入ってる時点で、どうやっても「バカ」ですからね。

国領 でも、これでセガから取材に来ないか電話がきたんですよ。「バーチャファイター2」で影丸っていう忍者が使う回転キックの名前が「葉呀龍」で、開発者のスタッフがファンだから「バカルン超特急」をもじったんだって話をされて。

竹熊 本当だったんだよね。

国領 都市伝説かと思ってたのに、本当だったんですよ。

竹熊 話を戻すけど、国領くんが編集者として「イケるかな」と思ったのは、いつですか?

国領 南方熊楠(「真実のストリートファイター」http://mavo.takekuma.jp/famiviewer.php?id=18)あたりですね。

竹熊 これも、ノリを定めた回だな。

国領 「サルまん」を読んでいて竹熊さんが雑学に詳しいことは知ってたから、それをうまく出せれば『ファミ通のアレ(課題)』もおもしろくなるだろうと予想していたんです。ほら、当時の「ファミ通」読者ってオタクな人ばっかりで、そういう人は自分しか知らない情報が好きじゃないですか。だから、南方熊楠は喧嘩が強かった(「真実のストリートファイター」)とか本当のヨーロッパでは糞尿を窓からに捨てていたとか(「真実の中世ヨーロッパ」http://mavo.takekuma.jp/famiviewer.php?id=117)とか、そういうネタが出てきた時点で「今後どう話が転がっても大丈夫だな」っていう感じはしましたね。

竹熊 確かに、「真実の中世ヨーロッパ」のあたりで、ある種の路線ができた。もう、まともなゲームマンガは描く気はないと(苦笑)。ま、バカバカしいウンチクマンガはおもしろいんですよね。

竹熊 なかなか、マンガに井の頭公園の図版とか載せないですからね。あれは、『考現学』(今和次郎)から引用してるんですよ。昭和3、4年の本で、井の頭公園で首くくりがあった木を全部調べた地図があるんです。

羽生生 それを参考にして、本当に3人で切り株を探しましたよね。「あった、あった」って。

竹熊 「『続編』とは何か?」(http://mavo.takekuma.jp/famiviewer.php?id=187)も、僕は好きですね。「続」とか「新」とかって、二進法なんだよね。続なんとかの次は新なんとかで、その次は続新なんとかで。羽生生くんき、何か気に入っている回ってあります?

羽生生 俺、このころのことをまったく覚えてないんですよ。本当に、全部忘れちゃってるんですよね。

国領 たぶん、あのペースで描くのに必死だったんですよ。俺も、締め切りを落とさないようにするだけで精一杯だった。100回やって、1回も落とさなかったですからね。

竹熊 よく間に合ったよね、オールカラーで。カラーの塗り方とかもあるのに、よくやったよ。

羽生生 行き当たりばったりですよ。言葉は悪いですけど、探り探りやってましたからね。

※以降、

●歴史4 週に1回、竹熊宅(総家賃30万円)でネーム原作を作るネタ会議を実施

●歴史5 竹熊ブロマイド4万円、SM専用ホテル4万円、棺桶3万円……法外な経費

●歴史6 疲れて果てて酒も飲まずに寝た京都取材、悔やまれるは芸者遊び

●歴史7 竹熊「単行本の表紙を『ファミ通』のパロディーにしたい」→単行本も経費増

●歴史9 『ファミ通のアレ(仮題)』で開花した羽生生純の才能

●歴史10 千葉麗子の話を初めてまともに聞いたのは竹熊だった

●歴史11 竹熊、みずから『ファミ通のアレ』を終わらせたことすら忘れていた

と続きます。続きはメルマガで!

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2013年7月10日

祝・出版記念座談会 『同人王』と僕らの時代

 

(2013.7.3 スカイプチャットにて)

出席者

牛帝(「同人王」作者)
たまごまご(フリーライター・マンガ評論家)
泉信行(マンガ研究家)
竹熊健太郎(「電脳マヴォ」編集長)

 

■肉先生、結婚してくれ!

竹熊 「電脳マヴォ」編集長の竹熊です。思えばネットサーフィン中に「同人王」を見つけたのが昨年の春先でした。連載開始が7月。それからちょうど1年で、会社を作り、太田出版さんから単行本を出す運びになりました。無料WEB雑誌を維持しつつ、いずれ単行本を出して行く考えは当初からありましたが、これほど早く実現できたのは「同人王」という優れた作品と出会えたからだと、感無量です。

牛帝 「同人王」を描きました牛帝です。よろしくお願いします。

 『同人王』は個人サイト時代からのファンでした、マンガ研究家の泉です。

たまごまご: 肉便器先生と結婚したいと本気で思った、フリーライターのたまごまごです。よろしくお願いします!

牛帝: よろしくお願いします!

 : [mixi] 肉便器先生、結婚してくれ http://mixi.jp/view_community.pl?id=2013751
たまごまごさんはこのコミュニティに入ってたんですよw

竹熊: うげ。

泉 : 結婚したいとか言われてますよ、牛帝さん

牛帝: 本当だ!!>[mixi] 肉便器先生、結婚してくれ 僕のキャラが「俺の嫁」になるとか夢のようです。

たまごまご: そうですそうです>コミュ。多いと思いますよ肉便器先生の、ファンではなく、ともに歩みたい人。 俺の嫁・・・いやなんだろう、ちょっとちがうんですよ。

 : mixiでそれを覚えていて、ぼくが今回たまごまごさんをお誘いしましたという流れですね

牛帝: そういう流れだったのですねw

たまごまご: ワハハそんなところまでw 肉便器先生は、俺の嫁なんて言葉でくくれないんですよ。肉便器先生になりたいし、肉便器に救われたし、肉便器先生を救いたい、って。唯一無二じゃないですか。あそこまでアガペーで満ち満ちたキャラは。

・・・この対談最初から肉便器だらけなんですが大丈夫なんですか。

竹熊 作品内も伏字ありませんし。

 : ペンネームなんですけど、知らない人が読んだら何の話してるんだっていうw

牛帝: 肉便器先生は、もともとは「実在の某大手同人サークルがああいう理由で描いていたらかっこいい!」という思いつきで出したキャラで、本来は一発ネタのつもりでした。

たまごまご: ふむふむ・・・

牛帝: しかし出してみたら、作者の想像を超えて独り歩きしだして、

 : ああ、「育ったキャラ」だったっていう。それは意外かも……。

牛帝: あとでまとめて読むと、意外と行動に一本筋が通ってて、我ながら驚きましたw

竹熊: 肉先生、僕は綾波レイの後に現れた真に独創的なキャラクターだとおもうのですよ。

たまごまご: ですよね、ほんと他にいない、自分を顧みないキャラというか。初登場でアシさんたちが来た時の衝撃はすごかったですよ。主人公には申し訳ないけど、もう肉便器先生のマンガだなって。

牛帝: 実は最初出すときに、「オタクの妄想きめぇwww」的なことを言われて終わりだと書きながら思ってました。そうしたら思いのほか受け入れていただけて、結果的に第二の主人公に…

たまごまご: ぼくはてっきり、ラストの展開まで含めてのキャラだと思ってました。一人歩きしたんですね・・・

牛帝: 最初は再登場の予定すらなかったです

たまごまご: えっ!?!?!?

牛帝: 突然面白いエピソードが入って、次からは何もなかったかのように元に戻る的な予定でした

竹熊: ほう。

:何もなかったかのように続くプランの方がむしろ気になるw

たまごまご: 変な話ですが、最近肉便器先生の意志をついでいる同人作家さん増えてる気もするんですよね。

竹熊: へえ。肉先生のあの意志を。

牛帝: 意思を継ぐもの…!

たまごまご: たとえばぼくはロリコンなんですが、ロリコンはつらい。現実に手は出せない。だからそういう人たちが喜んでくれたらいいな、とオリジナル同人誌を描く作家さん。いますよ。

牛帝: 僕も、女性同人作家さんが、「私も肉便器先生と同じ事を考えて描いてる」的なツイートをされてるのも2~3回見たことがあって、すごく驚きました。気持ちわかる的な。

たまごまご: わあ!

牛帝: 漫画に現実が追いついちゃったよ!的な。

: ああ、男性向けでエロを描いている女性作家さんの中に、似たようなことを考えていた人がいたと。

たまごまご: でも他にないキャラですよね。見事に切りだされたなー と。……元々「こういう人いるよね」でなはかったんですね。

牛帝: むしろ「絶対にいないだろ」という感じでした。なので初期はなにを考えているか分からず、非常に描きづらかったです。

たまごまご: ああーなるほど・・・本当に、気持ちがわかるなーになったのは、やっぱり中盤の逆レイプ事件あたりからでした。アガペーと依存が共存していて。

牛帝: あのあたりからじょじょに馴染んできて、動かしやすくなった気がします

竹熊: んーと、肉先生のベースになった人がいるって言ってませんでしたっけ?

たまごまご: モデルが??

牛帝: モデルはですね、昔の「知ってるつもり?!」という番組で、神谷美恵子さんという方が紹介された時に、なんて心の清らかな人だと感動して。
それとは別に、昔通っていた整体で「精力が悪の元凶だから、若い奴らには大岩でも転がさせれば良い」という話を聞いたことがあって、

たまごまご: 精神科医のでしたっけ。

牛帝: ですです。

泉 : 一応解説しておきますと、肉便器先生は「男性は溜まった精を吐き出すことで犯罪や自殺衝動から逃れることができる、だから私はエロ同人誌をたくさん描いて世界を平和にする! という信念を本気で(←ここ重要)実践している」という架空の同人作家です。

たまごまご: 精力が悪の元凶、ってのは、なーんか納得しちゃいますよね。

牛帝: なにで見たか忘れたのですが、風俗嬢が仕事を始める時に、「男はおちんちんに精液がたまっちゃう病気で、それを楽にしてあげるのがこの仕事なんだよ」と教育されるという話をうかがって

竹熊: へえ。

たまごまご: へー!

牛帝: ムチャクチャだけど体感的には納得できなくもない名言だなぁ…と感動しまして

たまごまご: 色々怒られる文章だと思いますが、理解できてしまいます。

泉 : 「エロ同人誌の量産」って、たとえ儲けが大きいと仮定しても、謎のモチベーションといえばそうですよね。それも使い余るくらい収入があると仮定して、それでも刊行ペースが下がらないのはなぜか、という。その動機を牛帝さんなりに考えたら肉便器先生になったと(笑)。

 

■肉先生より妹の裸の方がエロい?

 

たまごまご: ぼく肉便器先生のほかに、もう一つこの作品で大好きなところが、即売会にいくとみんな裸なことなんですよ。後半は特に分けてらっしゃいますよね。これは意図的に?

牛帝: 基本的に室内は裸で、外だと服を着ています。外で裸だとつかまりますので

 : (解説)『同人王』の世界において、同人誌即売会の参加者は男女問わず全裸がルール。

たまごまご: 妹とかが、自宅では服を着ていて、即売会で裸なので、即売会は裸なんだー!わかるー!って。

 : いや、わかるってw

たまごまご: いや、そりゃ普通は裸じゃないですがw 気持ち的には即売会はもう裸だよなーと。

牛帝: 心の衣服は完全に脱ぎ去りますよねw あと連載中に、「肉先生の裸よりも妹の裸の方がエロい」というコメントを頂いたのですが、これは希少価値なのでしょうか

たまごまご: あああわかります・・・でもそれは肉便器先生に申し訳ない・・・でもわかる・・・。即売会で心の衣服脱ぐってのは、まったくですよね。全裸で欲望お互い晒して。

 : 妹は一般人っぽいから「裸が当たり前」とは本人思ってなくて、よくわからずに裸にされてる感じに見えますね。

牛帝: なるほど、そこですね!>よくわからずに

たまごまご:全員、三次元の裸に興味なくて、二次元に一心不乱なのもステキ

竹熊 : それも男女混浴

牛帝: 男女混浴でもまったく犯罪に発展しそうにない点も、実際の同人誌即売会のマナーの良さを反映しているといいますか。二次元専門なのかもですがw

 : ちゃんと肉先生も、半裸で街中へ飛び出す際には躊躇してるのもシュールですね。裸が恥ずかしくないのは、あくまでコミケルールであって。

たまごまご: 裸が恥ずかしくないわけじゃないんですよね。

牛帝: 当時、「いつも裸じゃないか!」と突っ込まれましたw

たまごまご: ww

竹熊: 変態だーっとか言われてるし肉先生

牛帝: 間違ってはないかもしれません

 : 変態なのはあながち間違ってないからややこしいw

たまごまご: 肉便器先生は変態じゃないよ!!!!!!!!。 ぼくはやっぱり同人誌とともに生きてきた人生があるので、あの全裸でいてもいい即売会の「場」に惚れましたねー。

牛帝: まだ即売会に参加したことない方の「本当に裸なの?」というコメントも何度か見ていて、ああ、汚れたおじさんが嘘を教えてしまって…と反省しました。

たまごまご: そ、それはさすがに・・・ない・・・ですね・・・w

竹熊: 室内で裸というのは、ニートの生活を暗示しているのですか? 牛帝さん。ぼく、今でも夏場は部屋で全裸が多いので。

たまごまご: そういえば妹や肉便器先生は室内では服きてますね。

 : ニートというか引きこもりですか

牛帝: ニートに近いような生活を送ってると、パンイチですごすことはわりとあるので、踏み込みの良い方は全裸の可能性も…? タケオと妹と肉先生が自室で全員ヌードだと、さすがに絵面がいかがわしすぎるからかもしれません

竹熊: 僕は全裸ですね。チョンガー歴10年選手としてはw もう自室は荒れ放題ですし。金輪際妻も彼女もこないだろうと思って。

牛帝: サルまん的に貴重な証言!>僕は全裸

たまごまご: さすが竹熊先生・・・! とはいえマンガ連載で、全裸キャラが入り乱れて普通に即売会やっているのは、おそらくオンリーワンではないかと・・・あ上連雀先生がやってるかな。

牛帝: 同人活動をテーマにした商業漫画の単行本を3作買ったのですが、全部服を着てました。しかしさすがにかみれんじゃく先生には先を越された…!

 : ちょっと世代が上の読者だと、つの丸先生の『みどりのマキバオー』に描かれる競馬場の客を思い出す人もいそうですね。牛帝さんは読まれてました?

牛帝: わりとリアルタイム世代だったと思いますが、当時は競馬のシステムが分からなさすぎたので序盤しか読んでませんでした。

 : 同じ顔のおっさんがみんな全裸で客席に並んでるんですよ。あれも競馬の客の精神性を表している意味では似ているかもw

牛帝: 15年くらい先をいかれてましたね

たまごまご: 全裸で描く肌感覚はやっぱりこの作品ではかかせないですよね。真一のペニスケースも、天才肌な彼ならではなのかなー?と思いましたが。タケオと違ってそそりたってそう。

牛帝: とりあえずストーリー上、服を肉先生に渡すところまで決まっていて、替えの衣装をどうしよう…コテカでいいや的な。結果的には、キャラ立て的に良かったです。

たまごまご: あ、コテカでした。失礼しましたw

牛帝: 僕も違いがわからないので大丈夫ですw>コテカとペニスケース

 : あったあった、これですね。>『みどりのマキバオー』の観客 http://ameblo.jp/d-shibukawa/image-10757482126-10961090200.html

竹熊: うまく行った作品って、後から考えるといろんな偶然がいい方向に左右してることが多いんですね。あしたのジョーの力石の身長とか。デビルマンとか。

 

■終わらせるために、2年半考えました

 : 「偶然」といえば、ネタバレになりますけど●●の強さを証明する伏線になったあの●●殺害は狙ってた…んですか?

竹熊: あれは狙ってないでしょ?

牛帝: あれはまったく伏線としては考えてませんでしたw 伏線として考えた箇所のほうが少ないです

竹熊: だよねえ。あれ狙ってやったなら、メタマンガの新機軸開いてましたよ。

たまごまご: あれはギャグだと思ってました、が、まさか後半・・・w

牛帝: 前半、とりあえず勢いでガーッと描いて、後半に長考してほぼ全部伏線として回収した的な…w

泉 : じゃあほんとライブで風呂敷を広げて行った感じだったんですね。しかもそれがちゃんと畳まれていく

たまごまご: ぼくこの作品のすごいところって、やはり前半勢いとスピード感で読ませて、後半肉便器先生の救いにつながっていくところだよなーと思ってみていました。

竹熊: 伏線の回収。以前牛帝さん、長編マンガの終わらせ方を研究していたとおっしゃってましたよね?

牛帝: はい。更新停滞期間が2年半くらいあるのですが、その間、シナリオ技法書のシド・フィールドの本を熟読しながら、どう終わらせるかを延々考え続けていました。結果的には、大頓挫して時間ができたから、なんとか風呂敷をたためた気がします。

たまごまご: なるほど、その2年半が物語を作っていったんですね

牛帝: もともとは、オフ会で肉先生が抜いて、それでタケオが救われて終わりの予定でした。その場合、1年で終わってましたね

竹熊: 結果としてこれ以上はないというくらい、一点の曇もない「大団円」になりましたよね。

牛帝: ありがとうございます

たまごまご: あ、真ん中くらい。第一期みたいなかんじですね>オフ会

泉 : 更新停滞期がすごいブランクですね。再スタートすること自体に並大抵じゃないモチベーションが必要そう

牛帝: けっこう大変でした>ブランク

たまごまご:肉便器先生を「俺の嫁」ってうかつにいえないのは、やっぱり後半、肉便器先生の依存みたいな部分がでてきて人間性が見えてきたからなんですが。これはどのあたりから考えられていたんですか?

牛帝: えーと、タケオが車に轢かれて結果的に立体に目覚める回があると思うのですが

たまごまご: 絵の描き方でつまっていたときですよね

牛帝: はい。あそこでいったん進行を止めて長考して、そこから一気に最後までシナリオを書いたのですが、その時ですね。

 

■「逆レイプ」はなぜ消えたのか?

竹熊: マヴォ連載時に何に驚いたかと言いますと、オリジナル版には「肉先生が意識不明のタケオを抜く(逆レイプ)」というクライマックスがあった。それもほぼ一回分つかってハードな濡れ場を描いてあったものを、牛帝さんがバッサリ切ってきたんですよ。それで「おお」と思ったんですよ。

牛帝: リアルタイム時不評でしたから…w>逆レイプ

たまごまご: ああー、そうだったんだ。今まで聖人君子みたいな子だったので驚きました。ヌく話しのときも不安定でしたが。

竹熊: 確かに。その後の展開からすると不要なシークエンスですが、普通あれだけ苦労して描いた原稿をなかなかカットできるものではありませんよ。

 : ぼくはその手前の、「肉先生が見ている世界を俺も見てみたい」とやけに執着するタケオの描かれ方が特に好きでした

たまごまご: 「いったいその目で何を見ているんだ・・・?」

牛帝: 不安になり始めた肉先生を描いてる時は、「ああ、話が終局に向かって動いてるなぁ…」と描いていて手応えがありましたw

泉 : その衝動でタケオの人間が変わっていったと思うので。個人的には共感もできるんですよ

牛帝: むかし、「知ってるつもり?!」の永井隆博士の回を見たあとの僕があんな感じでした>「肉先生が見ている世界を俺も見てみたい」とやけに執着するタケオ

たまごまご: 知ってるつもり率高いですねw

泉 : ああ、知ってるつもりなんだw

牛帝: 実は同人王では一番影響を受けてるかもしれませんw

泉 : 実はさっき、女性読者から「気持ちわかる」的な反応があったというのは、肉先生が共依存に陥りやすいタイプだから共感するのかな、とか考えてたんですけど。

牛帝: 心のおちんちんに共感すると時々言っていただけますw

たまごまご: 中盤以降はほんと、真一も肉便器先生もウサミも暴れて収集が大変そう。

牛帝: あとやっぱ、終盤のタケオが成長したあとの心理にも共感できる的な。実は長いこと真剣に向き合ったのが良かったのか、意外とアッサリとエピローグ手前までまとまってましたw

たまごまご: 僕は「壁になれるとかなれないとかはどうでもいい、白子さんとケイコとすごす時間を、くだらないことで邪魔されたくないんだ」は、大好きです。ああー!脱皮したー!って。

牛帝: そこを見ていただいて嬉しいですw 俺は強くなるんだー! から、人を大事にする程度には成長したんですよね。

泉 : 肉先生って、資金力もあるし、自分を伸ばしてくれるし、優しいし、言ってみれば「男に都合のいいヒロイン」なんですけど、肉先生も病んでるから一方的な関係にならないわけですよね。

たまごまご: 最初は勝手に空振りしていた彼が、白子さん(あえて肉便器先生ではなく)と出会えてよかった瞬間・・・。

牛帝: ですねぇ

竹熊 というか、パラノイアw にここまで感情移入できるマンガ読んだの、久しぶりかも。肉先生からは北島マヤと同種の匂いを感じます。肉先生がタケオを救いに行くところ、僕の世代だと「漂流教室」の翔のお母さん以来ですよ。あと「巨人の星」で美奈さんの臨終に向かう飛雄馬。

牛帝 チョイスが渋いですね。

たまごまご: 思い込み甚だしいといえば、まさに・・・。

泉 : 聖女のようなヒロインにダメ男が救われるっていう展開は純文学だとありがちな話だとも言えるんですが、あそこまで「あ、このヒロインは聖女ってだけじゃなくて、危ない子だ」と見え方が逆転していくキャラもなかなかないかなと感じてました。

たまごまご: あれで最後まで聖人君子だったら・・・でも肉便器先生だったら好きかな・・・。

牛帝: 白子が巣立とうとしているタケオに対して「嬉しいけど嫌だ!」と思う気持ちも、分かるといっていただいて嬉しかったです。

たまごまご: それがあるから、ギャグキャラじゃなくなりましたよね。むしろ白子が迷走していたから、タケオが成長したんですかね?

牛帝: 結果的に、危ないところがあるのがリアリティのバランス的に良かったのかもですねw もし白子が完璧超人だったら、逆にタケオは成長できなかったかも…w

たまごまご: お母さんみたいになってるかもですねw

牛帝: 尻に敷かれて、それはそれで楽しそうではありますがw

泉 : 逆に最近のマンガだと、押見修造先生の『惡の華』の仲村さんとか、危ない子という側面を先に押し出すヒロインも登場していますね。肉便器先生は聖女としても危ない子としても、相当レベルが高いですが……。

 

■焼却炉で原稿を燃やしたこと

牛帝: ところで真一にもモデルがいるんです。そもそも彼がワロスや新都社に引き込んだ張本人なのですが、絵の練習をしていた時に、妙に付き合ってくれていて

たまごまご: うんうん

牛帝: 当時僕は原稿を完成させられないのが深刻な悩みで、その対策として、「3ヶ月で16ページ描けなければ、描き途中の原稿をすべて燃やす」という企画を考えたのですが、それにも付き合ってくれたりして、

たまごまご: 燃やす!? 熱血ですねえ・・・

泉 : その発想はなかった

竹熊: ますます梶原一騎の世界ですね。

牛帝: はい。庭の焼却炉でもやしました。あと、一緒に絵画教室に行ったり。そのころの身近なライバル関係的なのがモデルになってる気がします。

たまごまご: ほんとに燃やしたんだ・・・

牛帝: 灰になりました

泉 : タケオが在庫焼くのもそれで…

牛帝: 言われてみればそれが元かもw

たまごまご: ライバルに憧れる、っていうのは、経験はあんまりないですが共感もてます。

泉 : なぜか付き合ってくれる相手ってのはいますよね

牛帝: ありがたいですね>付き合いの良いライバル

竹熊: 宮崎駿は高校卒業時にそれまで描いたマンガ原稿全部燃やしたんだよね。どうやっても手塚が超えられないと思いつめて。

牛帝: さすが我らが御大!

 

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2013年4月13日

鼎談・ぼく脳×おおひなたごう×竹熊健太郎~ 「ぼく脳」と幼稚レアリスムの世界

ある日、竹熊のもとにマンガ家のおおひなたごう先生からメールが舞い込んだ。いわく、「ぼく脳」なる人物がいて、「絵は幼児みたいだが、すさまじいセンスがある」という。深夜ぼく脳のサイトを見て、竹熊は危うく脳梗塞が再発しかけた。ぼく脳とはいったい何者なのか? 某日、おおひなた先生とぼく脳を招き、彼のマンガの魅力に迫ってみた。(構成・有馬ゆえ)

●出席者

ぼく脳 ぼく脳

おおひなたごう マンガ家。京都精華大学ギャグマンガコース特任講師。『ラティーノ▽』(「週刊モーニング」)、『目玉焼きの黄身 いつ つぶす?』(「コミックビーム」)を連載中

竹熊健太郎 「電脳マヴォ」編集長/京都精華大学マンガ学部ギャグマンガコース教授

 

ぼく脳とは、「ぼく脳」である

竹熊 今日は、おおひなた先生からの紹介で、ぼく脳さんとの鼎談が開催されるに至ったわけですが……。ぼく脳さんって、芸人さんなんですよね。マンガ家、ではないですよね?

ぼく脳 えっと、「ぼく脳」です。

おおひなた ぼく脳としか、いいようがない。ラーメン屋でいう「ラーメン二郎」みたいな。

竹熊 芸名ですよね?(そりゃそうだろう)

ぼく脳 はい。前に、本屋か図書館で見た『僕の脳みそを返せ』という本のタイトルが由来です。使いたいなと思ったんですが、長いので略して「ぼく脳」です。でも、この名前がけっこうカブるんですよ。

 

おおひなた 前に共演した大喜利イベントのときも、「脳みそ夫」ってのがいたしね。 

ぼく脳 あと、「オモコロ」にも「ぼくののうみそ」さんっていう人がいますし、そもそもお笑い芸人にも「脳ベンバー」ってコンビがいて……。

おおひなた これも「電脳マヴォ」だもんね。

竹熊 本当にカブりやすい(笑)。失礼ですが存じませんでした。どんな芸風なんですか?

ぼく脳 ピン芸人で、舞台ではショートコントをやっています。タイトルを言って、その内容を小道具を使いながらセリフで話を展開していくみたいな……。内容は、ほとんどマンガと同じです。そもそも、マンガもコントで再現不可能なものを見せる方法として始めたんですよ。

おおひなた この絵は、本気の絵なんだよね?

ぼく脳 現時点では、そうですね。昔はもっと描けたんですが……。といっても、絵を描きはじめたのは2011年の末ぐらいなんですけど。

竹熊 描けば描くほど退化しているんですね。そういう人、生まれて初めて会いました。マンガとかアニメには、もともと興味があったんですか?

ぼく脳 いや、最近まではメジャーなものしか読んだことがなかったんです。『スラムダンク』『クレヨンしんちゃん』『幽遊白書』『るろうに剣心』『ワンピース』……。マンガを描きはじめてから、「作風が似てる」と言われた長尾謙一朗さんや天久聖一さんの作品を読むようになりました。

おおひなた 学生時代は、バスケットボールに打ち込んでたみたいなんですよね。

ぼく脳 はい。小学校から12年間、ずっとバスケ部でした。芸人になったのも、誰かにあこがれていたわけでもなく、高校卒業後に先輩に誘われるがままにNSCに入って、そのままよしもとへ、みたいな感じで……。本当に趣味も興味も何もない、つまらないやつだったんですよ。

おおひなた 芸人の割に、声が小っちゃいよね。

ぼく脳 そうですね。NSCのときも「声を張れ」って死ぬほど言われました。

竹熊 そのころは、鉄拳さんみたいなスケッチブック芸のようなことは考えなかったの?

ぼく脳 まったく考えてなかったですね。相方がいて漫才をやっていましたし。絵は、本当に最近なんですよ。絵を描いてみたら、コントより思いついたことを表現しやすいと発見したので。ただ、これをライブで見せてやっても……スベるだけですよ。

おおひなた まぁ、見せ方次第では、何とかなりそうな気がするな。彼の芸とか絵は、ハマるとすごく力を発揮するんですよ。一緒に大喜利イベントに出たときも、回答がシュールなので、前半は全然笑いが取れなかったんです。でも、後半になって、会場がぼく脳の世界を理解してからは、ドッカンドッカンウケるようになって。

竹熊 マンガを見ていてもそうですよね。読者からすると世界観をきちんと理解しないと面白く感じられない。おおひなた先生が感じる魅力とは?

おおひなた 内容は、はっきり言って全部無意味なんですよ。でも、無意味なものを一応わからせようとして、説明しながら書いている。この説明が、逆に面白い感じを出してるんですよね。

 

「僕の父は仕事帰りに突然すごいカミングアウトをしながら 芸能人全員の髪の毛が集まってできたUFOに吸い込まれて死にました」

 

おおひなた これはね、想像して楽しむマンガなんですよ。このお父さんは、尻が算数の豚を毎日売っている。毎日、こういう風に路上で豚を売ってるんだなって想像して楽しむわけです。売れないと、やっぱりへこむんだなとか。

竹熊 尻が算数の豚を。これはなぜ尻が算数なんですか?

ぼく脳 遠い同士をくっつけるようにしているんですけど……。「豚」と「算数」だと小学校で同時に見ることがあるかもしれないけど、「算数」が「豚の尻になるもの」と考えると、めちゃくちゃ遠いな、と。

おおひなた 豚と算数の関係って、誰も考えたことないですよね。

竹熊 仕事帰りに突然すごいカミングアウトをした。すごいカミングアウトって、いったいどういうカミングアウトですか?

おおひなた それを3コマ目で説明しているんですよ。

竹熊 「絵の具に挨拶したことがあります」? これがそうなの?

ぼく脳 はい。

おおひなた UFOが何でできてるのかって考えているときに、一番遠いものとして「芸能人全員の髪の毛」が出てきたんだ。

ぼく脳 はい、あと気持ち悪いですし。

竹熊 2コマ目でちゃんと時間経過があるんですね。

おおひなた 仕事帰りだから……。あ、豚は置いてきたんだ。しかも「1匹も売れないし」って言うわりに、1匹しかいないんだ。

ぼく脳 確かにそうですね、今、気づきました。

 

●「谷亮子のお墓を勝手に改造してドライブしていたらウルトラマンゲコウ(下校)にぶつかってしまったので、混乱してキツネの両端のことを考えだした女」

おおひなた ウルトラマン下校、いいよね。

竹熊 ウルトラマン下校って、顔の中で下校しているの? 小学生が?

ぼく脳 そうです。「ウルトラマン」と「下校」だったら、ウルトラマンに下校シーンがあるかもしれないのであまり遠くないんですけど、「ウルトラマン○○」になるものとすると、「下校」はものすごい遠いものになる。

竹熊 ぼく脳流のアイデア術は、とにかく遠いものと遠いもの組み合わせるわけですね。

ぼく脳 あと、とにかく絵にして気持ち悪くて面白いものを。

竹熊 そもそも、谷亮子さんは死んでないじゃないですか。

ぼく脳 そこは運転している人の勘違いです。その後、ドライブしていたら、ウルトラマン下校にぶつかって、事故起こしてパニックになって……。

おおひなた キツネの両端のことを考えだした、と。キツネの両端は?

ぼく脳 最初は真ん中とかにしようと思ったんですが、コラージュしたときに鼻と尻尾を貼ったほうが面白かったので。

竹熊 絵からも発想する、と。

おおひなた 事故って焦った顔をしていないのはいいんだ。

ぼく脳 それはいいんです。

 

●「嘘をつくと声帯がワニになる女」

竹熊 これは、わかりやすいんですけど、ワニが刺さってるって……。

おおひなた タイトルで説明してても、それで想像できちゃうような絵はダメなんですよ。「声帯がワニになる」でどんな絵なのかって思って、コレが出てくるから面白い。絵がうまくなったら、はたして同じ面白さが出るかっていうと、また難しいんですよね。この絵で表現するから面白いみたいなところはある。

竹熊 ワニの発想も、なかなかないですよ。たとえば、言葉から考える人は普通はノドボトケからダジャレ的に考えていくんですよ。だから、仏像が刺さっているとかになる。ワニっていうのが、言葉からの発想する人からは普通は出てこない。

おおひなた あとこの人、声帯がワニになったっていうのに動じてないんだよね。これはぼく脳マンガに共通している。みんな、何が起きても動じないんですよね。この優しい目もいいよね。

 

●「(無題)」

おおひなた ……さすがにこれはちょっと読み方がわからなかったんだけど。

ぼく脳 真ん中から、1、2、3、4です。

竹熊 想像を絶するコマ割りですね。

おおひなた これはわからなかったわぁ。

ぼく脳 セリフが見えないので、何を言ってるのかわからないのが面白いかな、と。

竹熊 こんなコマ割り、エッシャーやマグリッドでも思いつきませんよ! まあ、考えたらエッシャーやマグリッドは漫画家じゃないから、思いつかなくて当然ですが。

 

●「すごく独特なツッコミと夜の競馬場を散歩していたらなぜか火が死刑になったという歴史上最も難解な事件」

竹熊 ツッコミと散歩しているのですか?

ぼく脳 はい、音というかセリフと……。

竹熊 独特のツッコミと。「屁の遺族か!」……屁の遺族?

ぼく脳 はい、これが「すごく独特なツッコミ」です。

竹熊 で、火が死刑になってる。

おおひなた 「屁(へ)」と「火(ひ)」でちょっと似てるな。

ぼく脳 似てますね。しまった。

おおひなた ぼく脳のマンガは、すべて存在しなかったもので構成されているんですよね。「ツッコミと散歩する」っていうのも今までなかったし。

竹熊 確かに新しい。

おおひなた 「火が死刑になる」っていうのもだけど、何ひとつ今まであったものがない。そして、競馬場が全然描かれていないっていう。

ぼく脳 すいません。

 

●「ダブルカーブバーガーに的外れなツッコミをした後、とんでもない夢を口にした水泳部の人」

竹熊 ダブルカーブバーガー見て、「情報か」ってツッコんで、「食事を流行らせたい」……。

ぼく脳 まず、めちゃくちゃ流行ってるじゃないですか、食事って。

おおひなた みんな、やってるからね。

ぼく脳 こいつはみんながやってるのを気づいてない。だから、食事を流行らせることが夢なんです。

竹熊 ダブルカーブバーガーを流行らせたい?

ぼく脳 違います違います。まったく関係ないです。ミスです。

おおひなた 本当はつなげたくなかったんでしょ?

 ぼく脳 そうですね。つなげたくないんですけど、つながっちゃったんです。バーガーと食事が近いから。

おおひなた つながると、意味があるんだなって思っちゃう。つながらないもので構成されるから、物語が生まれない無意味さが生まれて面白い。ダブルカーブバーガーに対して、「情報か!」ってツッコむ無意味さ。

竹熊 まったくツッコミになってないじゃないですか。

おおひなた そこなんですよ。いちいち、的外れなツッコミみたいにかみ合わない。僕自身がもともと的外れなツッコミとか、とんでもない心配とか、そういうの好きなんですけどね。

竹熊 このダブルカーブバーガーは、ハンバーガーのバンズとカーブがあったからコラージュして作ってみたら、ダブルカーブバーガーになっちゃったってこと?

ぼく脳 いや、これは「ダブルカーブバーガー」の語感を気に入ってから、何のカーブにしようか考えて、道路のカーブが絵としてわかりやすいかなと思って作りました。

竹熊 たまたま組み合わせてみて、変なものができたから、というタイプではないんですね。

ぼく脳 僕は、全部言葉で展開を考えてから絵を作ります。

 

●「昨日まで有名女子大に通っていたがふと 生活=ギャグ ということに気づいてしまった女」

おおひなた 人魚がカツ丼に座る瞬間は見てみたいですよね。この人は「生活=ギャグ」に気づいたのに、そんな日常を過ごしている自分にすら虚しくなったんでしょ? でも、描かれているのはまったくの非日常なんだけどね(笑)。

竹熊 「生活=ギャグ」っていうのは、ぼく脳さんの普段の考え方とは関係ないですか?

ぼく脳 関係ないですね。

 

●「ほうっておこう 汗がウィンドーズだ」

 

竹熊 これはわかりやすい。けど、汗がウィンドウズって?

ぼく脳 この人が、映画の『28日後…』みたいにウイルスに感染してるみたいなイメージで……。

おおひなた 医者の目線?

ぼく脳 仲間の目線です。この人が「体調悪い」って言ったら、その仲間が「ほうっておこう、無理だ、汗がもうウィンドウズだから」みたいな。

おおひなた 末期なんだね。

 

●「放っておけない女」

 

竹熊 これは「ゴルフのルール」っていうのが気に入っているんですけど、「放っておけない女」なんですよね? 「鮭の幅かよ!」というのは、どういう意味?

ぼく脳 鮭の幅です、鮭の幅。

おおひなた 音がしたからサンタだと思って見に行ったら、鮭の幅だったっていう。

竹熊 頭から尻尾の幅ってこと?

ぼく脳 そうです。それを感じたんです。

竹熊 ゴトッて音がするから、サンタさんかなって思って、鮭の幅を感じて、それで明日はゴルフのルールを増やそう……ってコレ、同じ人が考えてるの?

ぼく脳 そうです。不安定な感じが、男は放っておけないんですよ。「鮭の幅かよ!」ってツッコんで、そのまま寝ちゃってるんで。

竹熊 この女は、放っておくと何をするかわからないから男から見て放っておけない、と。まったくつながってないわけだ

おおひなた 全裸だしね。このツッコミはどうやって思いつくの?

ぼく脳 語感といえば語感なんですけど、幅に関しては今まで「何とかの幅かよ」ってツッコミを聞いたことなかったので。

竹熊 確かに、ツッコミ史上にないですね。実在しないものにツッコんでるし。

おおひなた パッと見て、2本の線ですからね。それを鮭の幅って直感でわかるっていう。

竹熊 クリスマスイブなの?

ぼく脳 そうです。

竹熊 クリスマスイブで、なぜこの女が裸で寝てるの?

ぼく脳 だからおかしいんです。放っておけないんですよ

おおひなた サンタを信じてるしね。「明日はゴルフのルールを増やそう」って、明日はゴルフなんだ。

ぼく脳 いやゴルフじゃないです。ルールを増やすだけで。

おおひなた 勝手に増やすだけなのか。ゴルフ界にはなんの影響もない。面白いね。

竹熊 面白い以前に、おそろしいですよ。

 

●「両津図吉のことを考えていたはずなのに急に凄すぎる決断を下したコック」

おおひなた 両津に図吉……。 

竹熊 著作権に配慮されたんですね。それで両津図吉のことを考えていたはずなのに、急にすごすぎる決断を下した、と。「滝のメスを作るか」? 滝ってあの滝ですよね。

ぼく脳 そうです。オスメスの。

おおひなた あれは、オスなの? 僕たちが目にしている、あの滝は。

ぼく脳 オスです。

竹熊 そこはちょっと、わかりづらいかもしれないですね。

おおひなた いや、全部わかりづらい(笑)。

 

●「馬鹿なことばっかりしているから突然そんな変な病気にかかるんですよおじいさん」

竹熊 いつも透明な大仏を作っているんだ、このおじいさんは。

ぼく脳 そうです。そんな変なことばっかしているから、体重が……。

竹熊 体重が消えた。

おおひなた なんでわかったんだ。

ぼく脳 ゼロになったんです、体重が。

竹熊 負けました。これは才能です。

おおひなた ここで大仏の顔を出してもいいのに、出さないじゃないですか。さっきのも、コック帽でやめとくでしょ。出せば理解しやすいのはわかっているはずなのに、あえて出さない。その狂気な感じを徹底させている。

 

●「野球の」

竹熊 面白い。腐った海鮮丼を打つわけだ。

ぼく脳 この人はなぜか帰ろうって思っちゃうんですよ。こんな魔球がきたんで。

竹熊 ノリツッコミなんですね。

おおひなた 「顔が七色のJカップがついてる竜巻」って、コレおっぱい?

竹熊 黒いのは竜巻なんですね。すごい世界だね。これを絵の上手い人が描いたら、どうなるんですかね?

おおひなた うまい人が書くと、2コマ目とかは「何ィ!? 手元で、海鮮丼に囲まれるゥ?」になっちゃって、つまらなくなる気がするんですね。好みによりますが、淡々としているのがいいんですよ。上手い人だと、オーバーになって、たぶんすぐ帰らないし。

竹熊 確かに。僕はこの海鮮丼の魔球と「右の選手、休日は清水寺でラッパを教えてる」ってどうでもいい注釈がかなり好きですね。

 

●ぼく脳が売れるためにキャラを作ってみた

 

竹熊 おおひなた先生、ぼく脳さんが売れるためにはどうしたらいいんですかね?

おおひなた キャラクターかなって思うんですけどね。「○○くん」みたいな、みんなが入っていけるキャラクターが1つあると、親しみやすいし覚えられやすい。

ぼく脳 キャラクターが必要だとは、僕も前々から思っていたんですけど、なかなか難しくて。

おおひなた 彼のマンガに出てくるキャラクターって、全部おかしいじゃないですか。普通、マンガって、主人公がおかしくて、周りが常識人っていう構図があるでしょう? そういうメリハリがあるといいですよね。

竹熊 じゃあ、ここでいくつかキャラクターを作ってみません? 描くのは速い?

ぼく脳 アイデアが固まれば、めちゃくちゃ速いです。でも、今ですか!?

おおひなた 追い込まれたね~。

 

 

というわけで、その場にあった紙とペンを使って、30分あまりのあいだに生れたのがこちら。

 

 

転校生をイメージしたという、この3つのキャラにおおひなた先生と竹熊が「名前がわかりにくい」「キャラ設定をもっと詳しく」「口癖とか決めない?」などとダメ出しをし、数週間後にぼく脳から送られてきたのが……。

 

ムシャさん

ある日突然、No1アイドルになるために東京の学校に転入してきた謎の外国人。お金が無いので、ミュージックステーションのデカい階段の上で生活している。変な日本語の言い回しと突拍子もない言動で周りを混乱させる。色々な場所で定期的に奇抜な自主ライブを行っている。

 

ムシャさんを主人公にした『少女ムシャ』は、ぼく脳さんのブログ「けつのあなカラーボーイ」で読めますよ!

 

▼けつのあなカラーボーイ

http://tgmkcb.blog.fc2.com/blog-category-14.html

▼少女ムシャ

http://tgmkcb.blog.fc2.com/blog-entry-267.html

 【後記】おおひなたごう先生から私に「すごいギャグ作家がいるんですよ。漫画家じゃなくて芸人さんなんですけど、とにかく絵も発想もすごいんですよ」と紹介されたのが、ぼく脳さんでした。読んでその、脳梗塞が一瞬再発しそうになりましたし、この春から私とおおひなた先生はともに京都精華大学マンガ学部ギャグマンガコースで教えることになっておりますので、もし受験生やご父兄が読んだら「こんなのを褒める先生がいる大学に入学して大丈夫か?」とライバル校の京都造形大学や大阪芸術大学に志望変更されたらどうしようかと、生きた心地がしませんが、しかし独創的という意味ではこんな独創的な作家さんも、滅多にないと思います。

 なにが凄いってぼく脳さんは一切の資料を見ずにどんな絵でも描けますし、アイデアに歯止めというものがありません。また絶対誰にも盗作されないでしょうし、誰ひとり、盗作しようと思わないでしょう。マンガ界、いやおよそ創作に携わるすべての作家にとって「誰も描いたことがない作品」を描くことは一生の夢と申せましょうが、ぼく脳さんは、誰ひとり描けないという意味で、すべてが「誰も描いたことがない作品」であるのです。そのような作品を「描きたいか?」という問題は残りますけれども、ぼくはぼく脳、面白いと思います。 [竹熊健太郎]

 

【緊急告知】竹熊健太郎専用スタイリスト募集!!

今回の座談会、竹熊はほとんど徹夜明けに近い状態で参加したのですが、上がってきた写真を見て、よれよれの一張羅の背広は勿論、頭部の髪の抜け具合等、このままではヤバイと心の底から思いました。今後は京都精華大学ギャグマンガコース教授としてだけではなく、電脳マヴォ編集長としても露出が増える可能性がありますので、読者の皆様の中で「竹熊のスタイリストをやってもいい」と思われる方がいらっしゃいましたら、下記の連絡先までご一報ください。当然実費は竹熊持ちです。無料web雑誌でありますので、あまり多くをお支払いすることはできませんが、関西在住の方でしたら京都八坂神社向かいにある高級お茶漬け専門店「ぶぶや」の一杯1500円(お代わり自由)を必ずご馳走さしあげたいと思います。東京の方でしたら、私が日本で一番うまいと感じる町田アサノのカツカレー¥1600を接待いたします。国籍性別を問いません。

●竹熊メールアドレス k.takekuma●gmail.com ●→@

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2013年1月27日

「2月3日コミティア103に、電脳マヴォが参加します【G01a】

2月3日コミティア103に、電脳マヴォが参加します【スペース:G01a】

告知文

2月3日(日)に開催されますコミティア103に、電脳マヴォが参加することになりました。
サークル名は「電脳マヴォ」
スペース番号は「G01a」です。

コミティア公式サイト
http://www.comitia.co.jp/

開催場所:東京ビッグサイト東5・6ホール
開催時間:11:00~16:00

当日の頒布タイトルは以下のとおり。

・『少女地獄-なんでもない-』漫画:佐藤菜生 小説:夢野久作
・『同人王』上下巻 牛帝
・『コミックマヴォ』vol.1~vol.5
・『僕らの時間』相澤亮
・『台風通れ』相澤亮
・『海からの使者』DVD  のすふぇらとぅ 制作・たけくま書店

今回、コミックマヴォで連載されていた『少女地獄-なんでもない-』を1冊にまとめ頒布いたします!
同人誌には、夢野久作原作小説を、佐藤菜生の描き下ろし挿絵つきで掲載。
さらに竹熊健太郎書き下ろしの解説も!

読み応えたっぷりの内容で、1,000円でお求めいただけます。

また、現在電脳マヴォで大好評連載中のオリジナル版『同人王』上下巻を、重版して特別頒布!
オリジナル版はこれが最後の増刷となりますので、このチャンスをお見逃しなく。

また、ティアズマガジンでも紹介されておりました、相澤亮さんの同人誌2冊も委託頒布いたします。

サークル名は「電脳マヴォ」
スペース番号は「G01a」。

当日お越しの方は、是非お立ち寄りください。

よろしくお願い致します!

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